本会議

一般質問全文 (平成28年第2回定例会)

早川太郎 質問

「つなぐプロジェクト、早川太郎でございます。
今回は大きく3点伺わせていただきますが、質問を始めるに当たり、まずはこのたびの熊本地震で被災された多くの方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念申し上げます。
いつ起こってしまうのかわからないのが自然災害であり、台東区においても例外ではありません。台東区政においても、今回の甚大な被害をもたらした熊本地震の痛ましい経験を無駄にしないことが重要であり、自然災害に対する備えをさらに充実させていくべきと考え、震災対策について2点、質問・提案をさせていただきます。

まずは、建築物の耐震化の推進について伺います。
本年4月14日の前震、そして16日の本震と、立て続けに震度7を記録した熊本地震では、49名の方が地震の直接的な被害によって亡くなられ、また、その後の避難生活による体への負担や持病の悪化などによって20名近くのとうとい命が失われてしまいました。内閣府の非常災害対策本部の発表によれば、6月7日現在で建物の被害は全壊7,151棟、半壊2万1,181棟で、一部破損まで含めれば13万棟を超えているということです。これら被害を少しでも減らしていくためには建物の耐震化が不可欠であり、耐震化された建物を1棟でもふやしていくことが重要です。
今年度策定された台東区耐震改修促進計画では、現状、84.6%の住宅の耐震化率を平成32年度には95%とする目標を掲げています。しかし、この現状の耐震化率84.6%は戸数ベースであり、集合住宅の新設が増加している台東区の現状を鑑みれば、実際の建物の数、つまりは棟数ベースの耐震化率では一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率67.1%を下回る数字が実情なのではないでしょうか。そう考えれば、台東区の耐震化は決して十分ではなく、いつ起こってもおかしくない首都直下型地震に備え、耐震化をさらに強力に進めていかなくてはなりません。
耐震診断の無料化を実施するなど、区も耐震化推進に向けた取り組みを強化してきましたが、昨今では3.11以降、時間の経過もあり危機意識が低下する中で、27年度の木造住宅の耐震改修助成件数は2件と伸び悩んでいます。区は、促進に向けて今年度より、耐震改修助成制度の上限金額を引き上げるなど、さらに耐震化促進事業を充実させています。しかし、事業を充実してもそれが区民に伝わっていなければ、耐震化は進んでいかないのではないでしょうか。平成27年度の区政サポーターアンケートによれば、区の耐震助成制度について、5割の方が知らないと答えています。
区は、耐震化事業の啓発に向けて、今までも総合防災訓練などでのPR、そして26年度には旧耐震基準の建築物と思われる全棟に対してパンフレットを配布するなどPRに努めてきましたが、残念ながら十分区民に浸透していたとは言えないのではないでしょうか。今回の熊本地震における甚大な被害を目の当たりにして、耐震化の重要性が区民の中でも再認識されている今こそ、情報伝達方法や各種媒体、情報を受け取る側の特性に合わせた内容の工夫などを改めて検討し、耐震化推進に向けての情報発信を積極的に展開すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

次に、応急危険度判定について伺います。
建物の倒壊などによる被害を減少させるため、被災前の備えとして耐震化の推進がありますが、被災した後の被害を減少させるためには、行政として被災後速やかに応急危険度判定を実施していくことが重要となります。応急危険度判定は、被災した自治体の要請を受けて、判定員が2人1組となり、被災した建築物の調査を実施するもので、調査済み、要注意、危険の3種類のステッカーを判定した建築物の見やすい場所に掲示します。居住者はもとより、付近を通行する歩行者などに対しても、倒壊などの危険性が情報提供されることにより、人命にかかわる二次的被害を未然に防げることとなる大変重要な行為です。
現在、区では、原則震度5強以上の地震が発生したときに応急危険度判定を行うとしておりますが、現状の備えで十分なのでしょうか。台東区地域防災計画では、応急危険度判定の対象を民間の事業所などを除く住宅などとしており、平成25年度の住宅・土地統計調査によれば、区内の住宅棟数は3万450棟であり、最大その全てが判定対象となります。同計画によれば、応急危険度判定の目標を7日間と設定しており、目標達成するためには1日当たり約4,350棟、1チームの1日当たりの判定を仮に20棟とすれば218チーム、436人の判定員が必要です。計画では、民間事業所は自力で判定を行うとなっておりますが、中小事業所や商店が地域内に混在している台東区においては、判定時に用途の判断を現場で行うことは困難であり、現実的にはさらに多くの判定員が必要となることでしょう。判定員の主力となる判定員登録を済ませた在勤在住の建築士を会員とする台東区被災建築物応急危険度判定員協議会の会員数は現在240名となっておりますが、会員全ての方が判定員となって活動していただける状況とはならないのではないでしょうか。
今回の熊本地震の例を見ても、他自治体から判定員の派遣を行っていただけるとは思いますが、日本の総人口の約1割強が集中している23区では、住宅の棟数は150万戸を超えています。その棟数の判定を賄うことができる規模の派遣を期待することは、なかなか難しいのではないでしょうか。今回の熊本地震でも判定員の数が足らず、判定の着手がおくれた自治体があったとの報道もありました。また、他自治体からの派遣職員の宿泊先や、判定員の数が集まらなかったときの対応などにも課題があったと言われています。
震災後、速やかに応急危険度判定を実施できるよう、応急危険度判定員の拡充のための積極的な働きかけを強化するとともに、判定員との平時からの連携強化など、今回の熊本地震の経験を踏まえ、実効性のある備えを構築すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

次に、ペーパーレス化の推進について伺います。
私たち台東区議会は、平成28年第1回定例会において、議会改革推進協議会の作業部会として議会ペーパーレス検討会を設置し、ICTの活用などさまざまな方策を調査検討し、議会活動におけるペーパーレス化推進に向けての取り組みを開始いたしました。この検討会では、全議員にタブレット端末を配付し、クラウド情報共有システムを導入している立川市議会の視察に伺ったほか、3回の会議を開催し、議会で配付される資料の種類や作成手順、配付方法のほか、議員のICT機器の活用状況や他自治体の取り組み状況などの現状把握に努めるなど、ペーパーレス化推進に向けてさらに検討を進めていくこととしています。
議会でのペーパーレス化を進めていくためには、委員会資料の電子化など行政の協力は不可欠です。車の両輪にも例えられる議会と行政、議会だけでなく行政にもさらなるICTの活用、そしてペーパーレス化推進に向けての取り組みを進めていただきたいと思い、3点、提案・質問をさせていただきます。
本年3月に策定された台東区区有施設地球温暖化対策推進実行計画では、平成27年度を基準として31年度までに温室効果ガス排出量を4%以上削減という目標を定めています。その達成に向けての個別目標に、今改定から用紙の使用量も追加し、27年度を上回らないことにするとしています。しかし、同計画によれば用紙の使用量は区有施設全体では平成20年度に比べて26年度は12.3%増加しており、庁舎だけに限って言えば24.1%も増加しています。正直、随分控え目な目標だと思っていますが、この目標ですら現在の取り組みで達成することが可能なのでしょうか。
区は、ペーパーレス化推進に向けて電子決裁の推進に努めており、平成23年には電子決裁の決裁権者を部長まで拡大するなどの改善を行ってまいりましたが、電子決裁比率は平成21年度の6.52%から26年度の6.84%までにとどまっています。昨年8月には決裁権者を副区長、教育長までさらに拡大するなど改善に向けた取り組みを行っておりますが、決裁権者を拡大するだけで推進していけるのでしょうか。電子決裁が進まない現状を分析し、改善に向けてしっかりとした取り組みを行うべきと考えますが、電子決裁の推進に向けての区長のご所見を伺います。
また、ペーパーレス化に向けて保管・保存文書の電子化も推進すべきと考えます。行政文書の保存期間には法令その他により永年、10年、5年、3年、1年の保存基準があり、現在、保存文書は地下の書庫において段ボール箱約7,000箱が収納されています。毎年約1,200箱はその書庫に保管され、約1,000箱が廃棄処分となっています。1年ごとに約200箱が増加しており、書庫の収納も限界に近づいています。電子文書での保存を制限する法令などはありません。保管文書を電子化することで各所管に設置されているキャビネットの数も減少することが可能です。現在、手狭になっている庁舎内のスペースにも余力が生まれ、より有効的な活用が可能となります。また、地下書庫の保存文書を電子化すれば、必要な文書を探す労力は大幅に減ることとなりますし、災害時においてのリスクも減少します。この際、ペーパーレス化に向けて保管・保存文書の電子化を早急に推進すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
さらに、ペーパーレス化推進に向けては、ICTのさらなる活用も重要です。台東区では、平成13年に庁舎内の各課や出先機関をネットワークで結ぶ全庁LANの基盤整備を行ったほか、インターネットなどの多様な通信手段を活用し、公共施設の空き室状況の照会や予約が可能なシステムである公共施設予約システムを導入するなど、行政事務の効率化の推進や情報共有の充実、そして区民サービスの向上を目的としてICTの活用を実施してきました。
ICTを活用したペーパーレス化の推進ということでいえば、10年以上前の話になりますが、区は答弁検討会において、使用する紙の削減を図るためパソコン利用の導入を行いました。しかし、当時のICT環境では結果、効率が落ちてしまうなどの理由で取りやめ、現在は紙の資料での会議が開催されています。議会事務局の試算によれば、予算特別委員会が開催される第1回定例会の議員などに配付された紙の使用量はおおよそ10万枚。会議の種類や回数は明らかに議会より行政のほうが多く、行政が会議などに使用する紙は膨大な枚数となるのではないでしょうか。答弁検討会でのペーパーレス化を実施したときに比べて、情報端末やLAN環境の進化は著しく、これらICTの活用を充実することで相当数の紙の削減が図れ、ランニングコストの削減にもつながります。
さらに、会議などでのペーパーレス化を実現すれば、会議資料作成における労力や時間の短縮につながるとともに、写真やカラーを活用するなど、会議資料のつくり方が変わることにより訴求力が高まることから議論も深まり、区政発展の一助になるはずです。また、窓口業務にタブレット端末を導入すれば、区民への説明がよりわかりやすくなり、区民サービスの向上にもつながります。全庁LANへの接続は原則、各職員のデスク周辺となっており、会議室などでの整備がなされていないのが現状です。さらなる情報端末活用のために、庁内に無線LANを整備し、持ち運びのしやすいタブレット端末の導入など検討すべきではないでしょうか。ペーパーレス化推進に向けて、行政の効率化や区民サービスの向上、そしてランニングコストの削減にもつながるICTのさらなる活用を推進すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

最後に、隅田川を生かしたランニング環境の整備について伺います。
区は、本年4月の組織改正で、スポーツ振興課を新設し、オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ振興の推進に力を注ごうとしています。また、本年策定された2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた台東区の取り組み方針では、地域で誰もが気軽に楽しめる環境整備をスポーツ分野における取り組みの方向性の一つに掲げ、スポーツの実践を通じた健康的なライフスタイルの定着を図るとしています。大変すばらしい方針であり、ぜひとも実現していただきたいと思い、質問・提案をさせていただきます。
この、地域で誰もが気軽に楽しめるスポーツの一つに、区が奨励しているウォーキングとともにランニングがあります。道具を使わず手軽にできる運動であるランニングは、27年度の区民意識調査の、この1年間に行ったスポーツや運動で11.2%の第5位にランクインしています。しかし、町なかでのランニングは歩行者や自転車が共存しており、交通安全上の問題が懸念されています。そのような中、都の外郭団体であり隅田川テラスなどの管理を委託されている東京都公園協会は、隅田川リバーラン&ウォークマップを作成し、隅田川沿いでのランニングやウォーキングを推奨しています。その中の第1番目のコースとして白鬚橋、吾妻橋間の周遊コースが取り上げられています。
先日、柳橋から白鬚橋までの親水テラスを歩いてみましたが、桜橋より北側の防潮堤は、耐震補強工事やスーパー堤防工事の影響で一部区間が通行どめになっており、白鬚橋までは通行できなくなっていました。時刻は午後8時過ぎ、蔵前橋から厩橋間はテラス照明が整備されているなど、吾妻橋までは比較的照明も整備されており、隅田川からの風も心地よく、スカイツリーなどの景観もすばらしく、大変快適な散歩となりました。しかし、初期に整備された吾妻橋以北のテラスはほとんど照明の整備がなく、路面整備も未完成の区画があり、タイルやアスファルト、ウッドデッキなど、全く統一感がとれていない状況でした。テラス照明については、都も白鬚橋までを整備の対象としているようであり、完成すれば景観的にも安全面でも格段と環境は改善されることでしょう。
さらに、ランニングしやすい路面整備や距離標示、ベンチの設置を含めた休憩所の整備を行い、来街者にも利用しやすい吾妻橋付近や隅田公園内にある体育施設などにロッカーやシャワーを備えたランニングステーションを設置するなど、ランニング環境の整備を進めれば隅田川沿いのすばらしい景観もあり、都内でもトップクラスのランニングコースとなり得ます。
笹川スポーツ財団の調査によれば、ジョギング、ランニング人口は2014年で986万人との推計データもあり、女性ランナーも着実に増加しており、過去最高の値を示しているそうです。また、昨今では、都内有数のランニングコースである皇居外周では、観光客である外国人ランナーが増加しているそうです。都心で信号がなく一定の距離を走れるランニングコースは決して多くはありません。親水テラスのランニング整備は区民の健康増進に寄与するだけでなく、新たな来街者を呼び込むツールともなり得るのではないでしょうか。
平成26年第4回定例会における一般質問での隅田川を生かしたランニング環境の整備についての答弁において、和田教育長から、ランニングの推奨には安全安心な環境の整備が必要であり、区民のスポーツ実施率の向上にもつながると考えている旨答弁がありましたが、まさに同感であります。
スポーツ振興課を新設し、地域で誰もが気軽に楽しめる環境整備を方針として打ち出した区として、隅田川親水テラスにおけるランニング環境の整備は必要と考えますが、ランニングステーションの設置も含め、ランニング環境の整備に向けたご所見を教育長に伺います。
東京都も隅田川ルネサンスの取り組みやオリンピックを見据えてスポーツ環境の充実に力を注ぐはずであります。また、先ほども申し上げましたが、都の外郭団体である公園協会が白鬚橋、吾妻橋間の周遊コースをリバーラン&ウォークマップとして推奨していることも追い風となるのではないでしょうか。親水テラスを所管する東京都や関係機関に白鬚橋、吾妻橋間の親水テラスにランニングしやすい路面環境や距離標示など、ランニング環境の整備を強く働きかけるべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。」

 区長 答弁。

「早川議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第1は、震災対策についてです。
まず、耐震化の推進についてです。
区では昨年度、新たな耐震改修促進計画を策定し、今年度も東京都の緊急輸送道路沿道建築物の耐震化施策の見直しを反映し、計画を更新したところです。これに伴う耐震化助成の拡充については、広報たいとうへの掲載や各地区町連での説明などを通じて周知を図ってまいりました。また、熊本地震の発生を受け、直ちに町会回覧による事業のPRや、建物所有者への直接の働きかけなども実施したところです。今後は、助成対象者に応じた広報媒体や建物の用途に沿った啓発内容などを検討し、より一層効果的な周知が図れるよう情報発信してまいります。さらに、都や近隣区にも働きかけ、相乗効果を得られるような広報活動の連携にも取り組んでまいります。
次に、応急危険度判定についてです。
地震によって多くの建築物が被災した場合は、余震による建築物の倒壊等から生ずる二次災害を防ぐため、都の支援も受けながら、応急危険度判定調査が行われます。区ではこれまで、台東区被災建築物応急危険度判定員協議会を組織し、判定訓練や講習会の実施、連絡網の構築などを通じて、判定員が迅速かつ的確に活動できる体制の整備を進めてまいりました。私も議員ご指摘のとおり、災害に備えた協議会組織のより一層の充実は重要であると認識をしております。今後とも東京都や関連団体と連携するとともに、判定員への登録を積極的に働きかけていくほか、協議会員のスキルや意識の向上にも取り組んでまいります。
ご質問の第2は、ペーパーレス化の推進についてです。
まず、電子決裁についてです。
ペーパーレス化は温室効果ガスの削減、ひいては地球温暖化防止のために重要であると認識をしております。本区では、平成16年度から文書管理システムを導入し、事務改善、ペーパーレス化の観点から、電子決裁を実施しています。しかし、財務会計システムと連動していないことなどから紙決裁が必要となるものが多く、電子決裁が進まない状況となっています。今後とも対象文書の周知徹底を図るとともに、中期的には文書管理システム、財務会計システムの見直しを行う際にその連動を検討するなど、電子決裁の実施率の向上に努めてまいります。
次に、保管・保存文書の電子化についてです。
庁舎内の収納スペースに限りがあることや、文書検索の効率化につながることから、文書の電子化は必要であると認識をしております。文書の電子化に当たっては、基準の策定や明瞭な状態での保存、容易に検索できるシステムの構築を行う必要があります。今後ともモデル的な実施を含め、さまざまな観点から検討してまいります。
次に、ICTのさらなる活用についてです。
本年、情報化推進計画の改定作業を進めており、その中でもペーパーレス化について検討を進めているところです。具体的な例の一つとして、タブレット端末を活用した電子会議があります。電子会議の導入により、紙の大量印刷を抑制することが可能となり、コスト削減だけではなく時間の効率化などが図られると考えています。今後も積極的にICTを活用したペーパーレス化を推進してまいります。
ご質問の第3は、隅田川を生かしたランニング環境の整備についてです。
ランニング環境の整備は、区民の健康づくりに大変有効であり、また隅田川の水辺の活性化に資するものと認識をしております。河川管理者である東京都は、吾妻橋において、せんだってですが、親水テラスを連続化して、さらに現在、蔵前橋付近における照明整備、これを実施しているところです。議員ご指摘の、吾妻橋より上流域においては、親水テラスの路面整備や照明の設置など、改善が必要なところもあることから、さらなる整備に向けて、都と定期的な協議を行っています。今後も引き続き、距離標示の整備など、ランニング環境の充実に向け、都に対して働きかけてまいります。
その他のご質問につきましては、教育長がお答えします。」

教育長 答弁・

「早川議員の隅田川を生かしたランニング環境の整備についてのご質問にお答えさせていただきます。
東京オリンピック・パラリンピック大会を4年後に控え、今後ますます区民のスポーツへの関心が高まり、ランニング人口も増加が見込まれているところでございます。教育委員会では、オリンピアンから直接走り方を学べるスポーツイベントやジュニア駅伝大会の開催など、ランニングに親しみを持っていただけるよう、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。
隅田川周辺のランニング環境につきましては、吾妻橋下の通路の整備が進められたことで、隅田川親水テラスの連続性が確保されました。今後、テラスの路面や照明など安全安心に走ることができるランニングの環境が整えられることは、大変望ましいことと存じます。議員ご提案のランニングステーションの設置など、ランニング環境の整備につきましては、現在進めている新たな台東区スポーツ振興基本計画を策定する中で検討してまいります。」

代表質問全文 (28年第1回定例会)

早川太郎 質問

「つなぐプロジェクト政調会長、早川太郎でございます。会派を代表して、大きく3点伺います。
まず初めは、財政についてです。
今定例会で提出された補正予算案では、特別区民税は約5億円、特別区交付金に至っては17億円の増収が新たに計上され、一般会計では基金の取り崩しをほぼ実施することなしで済むことになりました。さらに、基金を約50億円積み増したことにより、基金残高は約400億円となっています。
28年度予算案では、前年度当初予算に比べ特別区民税は約7億円、特別区交付金も7億円の増収を計上しています。一般会計は、前年と比べ27億円増の968億円で、区政史上一番規模の大きい予算案となります。そうした状況下にあっても、区債発行、そして基金取り崩しの総額は前年に比べ約11億円も少ない約23億円で済んでいます。これらの結果から、財政状況が飛躍的に好転しているようにも見えます。
しかし、将来に目を向けてみれば、歳入では消費税の増税による地方消費税交付金の増額は、区が支払う消費税や住民税の国税化などの影響で、区財政へのプラス要因とは必ずしもなり得ません。消費税10%移行後には、さらに国税化が強化される可能性も高く、特別区交付金に与える影響は深刻です。また、景気の低迷による歳入減や消費税増税分の転換措置として、国、都からの支出金の減などの懸念もあり、さらに地方消費税の軽減税率実施による消費税収の補填財源のあり方によっては、台東区に交付される地方消費税交付金の減額懸念もあります。
歳出面でいえば、区有施設の老朽化対策として、前年当初予算対比で約4億円増の約20億円が28年度予算案では計上されておりますが、区の公共施設保全計画中間のまとめによれば、待ったなしの老朽化対策をしっかりと計画的に進めていくということで、試算では今後30年間で約850億円、各年では平均28.4億円の経費がかかる予定であり、多額な経費がかなりの期間、必要となってきます。
また、子育て支援対策では、子ども・子育て支援新制度が開始される前の26年度から比較すると、28年度までの3年間で認可保育所5園、小規模保育所4園などが新設されることになっており、こども園を除く保育施設の運営コストは、28年度の予算案では約53億4,000万円、26年度決算数値と比べて約13億3,000万円、3割以上の増額となっています。その増額分のうち、国や都などの補助金や保育料などの収入を差し引いた一般会計からの支出が約8億1,000万円にもなっています。保育施設の需要が高まる中、待機児童ゼロを目指すなら、保育施設のさらなる充実は必須であり、さらなる増設が必要となってきます。それに加え、子供の人口増加に伴い、放課後児童対策や学校施設の整備、子ども医療費助成など、子育て支援経費は今後大幅な上昇が予想されます。
一方、高齢者対策では、400人弱が待機者となっている特別養護老人ホームの合わせて200床以上の施設整備費として、28年度約11億円の予算を計上しておりますが、将来的に見れば、特別養護老人ホーム整備はこれで済むわけではありません。介護報酬でペイできるとされている100床を大きく下回る施設が谷中、浅草、蔵前、三ノ輪など多数あり、現状、指定管理費として赤字分を区が補填しておりますが、これら施設は従来型の多床室で運営されていることもあり、他の場所に大規模施設を新設することを含めて、施設自体の検討を行っていかなくてはなりません。また、地域包括ケアシステムの構築に向けては、今後ますます重要になる介護予防事業の充実が必要であり、当然それに係る経費も増大します。
さらに、障害者施策の事業費では、障害者自立支援法成立以来、障害福祉サービスの内容充実や、受給者の増により、5年前の23年度予算現額約35億8,000万円に比べ、28年度予算案では約47億2,000万円と5年間で11億4,000万円の増額。今後も生活支援施設や福祉作業所、グループホームの整備など、充実していかなくてはならない事業も多く、事業費は増大していきます。
さらに、本年4月に施行される障害者差別解消法を積極的に支援していくためには、バリアフリー対応など、官民問わず障害者支援を促進していく施策が必要となっていくことでしょう。
そのほかにも、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みや、耐震化・不燃化などの災害対策など多額な費用が見込まれる課題は多数あります。新興国の経済不安や原油価格の大幅な下落など、ことしになって急激な円高が進み、株価に至っては一時、年初から4,000円近く下落し1万5,000円を下回りました。また、内閣府が15日に公表した、昨年10月から12月期のGDP速報値によれば、GDPの約6割を占める個人消費が半年ぶりのマイナスになるなど、我が国の経済状況は先行き不透明感が増してきています。
今後も子育て・高齢者・障害者などへの対応は充実していかなくてはなりませんし、耐震化・不燃化など命を守る施策はさらに充実していかなくてはなりません。
基金にしても、リーマンショック以降、景気低迷による減収の影響などで22年度から24年度の3年間で、当初予算では約110億円の基金を活用し、財源対策を行わなければなりませんでした。景気が悪化し、歳入が増加していかなくても、先ほど述べたような施策は今後も持続的に事業を展開していかなければなりません。今まさに必要なものには十分な予算措置をとっていかなくてはならないとも思っておりますが、将来に備え、引き続き財政基盤の強化のために努めていくべきと考えます。
服部区長は、区の財政状況をどのように認識し、将来の備えに対してどのように対処していくつもりか、ご所見を伺います。

次に、環境政策について伺います。
気候変動の影響により、干ばつや異常気象、海面水位の上昇、感染症の拡大、生物種の絶滅など、気候変動による被害は着実に世界中で広がっています。その影響は台東区においても例外ではなく、猛暑日が続くことによっての熱中症や局地的な集中豪雨による浸水被害などがあり、日本各地の洪水被害を見ても、荒川決壊による区の3分の2が被災する洪水ハザードマップの想定が現実的な恐怖として再認識されています。
昨年12月に開催されたCOP21において、気候変動による人間社会や生物・自然への影響を抑えるための大きな前進となるパリ協定が、世界196の国・地域により採択されました。
パリ協定では世界の気温上昇を産業革命前と比べて2度よりかなり低く抑え、さらに1.5度未満となるよう努力するため、2020年以降、先進国と途上国がともに排出削減目標の作成と提出、対策実施の義務を負い、5年ごとの評価を通じて永続的な対策を続けることとなります。今後、我が国はパリ協定を受けて、平成42年度に25年度比で26%削減という約束草案の達成に向けて、国内対策を整備していくことになります。
また、東京都では、世界一の環境先進都市・東京の実現を目指し、国の削減目標よりもさらに厳しい、平成42年度までに、12年度比で30%削減という新たな目標設定を行おうとしています。電源構成の30%弱を占めていた原子力発電から、3.11以降、より温室効果ガス排出量が大きい火力発電へのシフトが進んだ結果、電力会社が一定の電力をつくり出す際にどれだけの二酸化炭素を排出したかの指標であるCO2排出係数は震災前と比べて5割以上も上昇しています。電力供給における再生可能エネルギーなどのさらなる活用や蓄電池などの飛躍的な技術の進歩がなければ、この目標はかなり厳しい状況です。
CO2排出量の多くを民生部門が占める台東区においては、行政だけでなく、区民や区内事業者、まさにオール台東区で一丸となって目標達成に向けて行動を起こしていくことが必要となってきます。温室効果ガス削減に向けて、国や都の目標と同等の目標を定め、実現に向けてCO2削減を推進していくなら、区長の断固たる決意が必須です。
今回の所信表明演説においても、残念ながら区長の環境政策に対する思いが十分に発信されていなかったように感じますので、この際、区政における環境政策の位置づけをどのように思っているのか、また、CO2削減に向けてどのような意気込みを持っているのか、ぜひご披露いただきたく、服部区長のご所見を伺います。
区がCO2削減に向けて、自己完結できる数少ない施策の一つに区有施設の省エネ化推進があります。区有施設の省エネ化はCO2削減に寄与するだけでなく、将来における経費の削減にも大きく効果をもたらします。しかし、多大なコストを伴う区有施設の省エネ化については、原則、大規模改修時に行うとなっています。
公共施設保全計画の中間のまとめでは、省エネ化を進めることにより30年間で58億円、単純割りだと年約2億円のコストが軽減できるとの試算がなされています。光熱費の大きな本庁舎は、既に省エネ化を進めており、さらに、この試算の中には多額な電気料のかかる街路灯なども含まれておりません。施設によっては1年前倒しするだけでも多額なコストが削減されることになります。将来においても、決して楽観できる財政状況が期待できない中、ランニングコストも減り、かつ、CO2削減に貢献できる省エネ・再生可能エネルギーの導入は、今まさにアクセルを踏むべき施策なのではないでしょうか。
また、太陽光発電など、再生可能エネルギーの活用により、災害時の電力供給を賄うことができるようにもなります。区有施設のCO2削減をしっかりと進めていくために、エネルギー消費量削減の成果をはかりにくいCO2削減目標だけでなく、年度ごと、個別施設ごとのエネルギー量削減の目標数値を立て、しっかりとした進捗管理を行っていける体制を構築すべきです。さらに、その成果をわかりやすい形で発信し、区民の意識向上につなげていくべきと考えます。
そもそも区民や事業者などに省エネ推進を働きかけるなら、まずは行政が自身でできること、つまりは区有施設などにおける省エネ化を誰よりも推進していかなくてはならないのではないでしょうか。区有施設の省エネ・再生可能エネルギー推進に向けて、区長のお考えをお聞かせいただきたく、所見を伺います。

 最後に、協働事業について伺います。
社会が多様化し、その社会で暮らす区民もさまざまな生き方が選択できる時代になってまいりました。それに伴い、行政に求められるサービスも多様化・複雑化してきており、今までの行政手法だけでは対応し切れない状況となってきています。将来においても決して楽観できる財政状況が期待できない中、多様な行政ニーズに応えていくためには、やる気やノウハウのある団体と協働しながら行政サービスの充実を図っていく、そういった行政手法を地方自治体は積極的に推進していかざるを得ない時代がやってきています。そのための施策が協働事業であり、NPO法人などの団体や公益活動を実践する企業などの社会貢献活動団体と区が力を合わせ、地域の課題解決へ取り組む仕組みの構築が急務となってきています。
昨今、各自治体では、行政サービスの充実・情報発信を強化しています。スマートフォンなどの普及により、各自治体の情報を比較しやすくなってきており、特に交通網が発達している23区では、より自分に必要な行政サービスを行っている自治体を選択肢の上位に位置づける可能性が増してきているからなのではないでしょうか。将来的には、協働事業活用の成否が地方自治体の優劣を決することになるかもしれません。
区は行政計画において、提案型協働事業制度を29年度から実施とし、26年3月に台東区協働指針を策定、来年度より中間支援組織を台東区社会福祉協議会内に設置するための整備を進めています。また、来年度からは、区民課のコミュニティ係を改組して、協働などを担う協働・多文化共生係を設置する予定であり、協働事業の推進に向けて準備を進めていることは評価しています。
しかし、協働事業の成果をしっかりと出していくためには、中間支援組織の優秀な人材の確保や利用しやすい立地、補助金指針の見直し、オープンデータの実施、庁内における組織改正を含めたバックアップ体制づくりなど、推進に向けてやるべきことは、まだ多数残されています。そして、一番重要なことですが、協働事業を成功させるためには、何よりも行政側の意識改革が必須であります。
台東区においても、協働事業の実施・育成を最重要課題の一つとし、区長の強いリーダーシップで着実に育成していくための準備をしっかりと行っていくべきと考えますが、区長の所見を伺います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

区長 答弁。

「早川議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第1は、財政についてです。
まず、本区の財政状況に対する認識です。
国は、1月の月例経済報告において、我が国の経済は緩やかな回復基調が続いているとの認識を示しています。一方、議員ご指摘のとおり、昨今の不安定な金融資本市場の変動に見られるように、景気の先行きは不透明さを増しているものと認識しております。
本区の財政状況は、歳入では消費税率10%への引き上げ時におけるさらなる国税化による影響で、主要財源である特別区交付金の減を懸念しています。また、歳出においては、人口の増加や区有施設の老朽化への対応など、増大するさまざまな行政需要を抱えており、予断を許さない状況にあると考えております。
次に、今後の財政運営についてです。
私は、いかなる経済状況にあっても、区民福祉の充実や新たな行政需要に的確に対応していくことが重要と考えております。そのためには、基金は財源不足や景気変動などに備えるため、一時的な歳入の増加や結果的に生じた歳計剰余金を積み立てる一方、必要な区民サービスや財政需要に対応するため、適切に活用してまいります。さらに今後、区有施設の計画的な大規模改修などの財源としては、一般財源の状況や世代間の財政負担の平準化の観点を踏まえつつ、特別区債も慎重に活用を図ります。
私は、将来にわたって区民の皆様が安心して生活できるよう、基金や特別区債を有効に活用しながら、中長期的な視点に立った安定的な財政運営を推進してまいります。
ご質問の第2は、環境についてです。
まず、区政における環境施策の位置づけとCO2削減の推進についてです。
私は、環境施策は区民生活の基盤を占めるものであり、地球温暖化対策、まちの美化、循環型社会の実現、環境教育など、区政全般にかかわる重要課題の一つであると認識をしております。また、地球温暖化の原因であるCO2の削減については、区は住民に最も近い自治体として、区民や事業者とともに一丸となって、この課題に取り組んでいかなければなりません。
そのため、区では、区民や事業者の省エネ行動の実践や省エネ機器の導入に対し、より一層の支援を行い、CO2の削減を目指してまいります。さらに、国や都とも連携を密にし、継続的に取り組んでまいります。
次に、区みずからの省エネルギーの推進についてです。
議員ご指摘のとおり、区民や事業者に省エネを働きかけるに当たり、区みずからが率先して模範を示し、先導的役割を果たしていくことが重要であると私も認識をしております。
そのため、区有施設の大規模改修等の際には、省エネ機器を積極的に導入することはもとより、既存施設にあっても、LED照明などの機器については、積極的かつ計画的に設置し、省エネを推進いたします。また、本年3月に策定する区有施設地球温暖化対策推進実行計画において、エネルギー使用量等の削減目標値を設定し、着実に実施いたします。
こうした取り組みにより、エネルギー使用量削減によるランニングコスト削減のメリットなどを区民や事業者にお示しして、区が指導的役割を果たしてまいります。
ご質問の第3は、協働事業についてです。
地域を取り巻く環境が、多様化・複雑化する中、町会等、地域社会で活動する団体が持つ専門性などを生かす協働がもとめられています。私も今後の区政運営にとって、地域における課題解決や地域力の向上に向け、協働がますます重要なことであると認識をしております。
そのため、本年4月に開設する中間支援組織は、さまざまな分野で活動する区民や団体、事業者などと幅広いネットワークを構築して、区や団体間のパイプ役として協働の取り組みを促進してまいります。
今後とも本区の多彩な特性や地域の魅力を生かしながら、より一層協働を推進し、区民の皆様とともに知恵と力を出し合い、住みよく暮らしやすい地域社会の実現に向け、鋭意努めてまいります。」

一般質問全文 (平成27年第3回定例会)

早川太郎 質問

「つなぐプロジェクトの早川太郎でございます。

 台風18号による記録的豪雨は関東や東北に甚大な被害をもたらしました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧、復興をご祈念申し上げます。
いつ起こってしまうのかわからないのが自然災害であり、その自然災害に対する備えを早急に進めていくべきと考え、震災対策について2点伺わせていただきます。

1点目は、建築物の耐震化についてです。
本年第2回定例会における服部区長就任後初の所信表明演説の中で、燃えにくく、燃え広がらない、倒れにくいまちを実現するための施策を展開すると述べられ、倒れにくいまちと耐震化の重要性を強調なされています。まさにそのとおりで、東京都が平成25年に公表した建物倒壊危険度ランキングによると、都内5,133町丁目のうち台東区はワースト100位以内に19町丁目も入っており、建築物の耐震化推進は台東区の最重要課題であります。
地震で家屋が倒壊しなければ圧死等を防ぐことも可能になり、倒壊による火災の発生、拡散も防げることになります。自分の家が安全であるならば避難所生活を送ることを免れるわけで、避難所にも余力が生まれ、備蓄品も対応可能となります。
台東区では、耐震改修を推進するために、26年度、耐震診断の無料化を実施するとともに、旧耐震基準の建築物、約1万9,000軒に対してパンフレットを配布するなど、PRに努めています。これら施策の効果もあり、耐震診断については、26年度においても61件と大いに健闘しています。しかし耐震改修においては、東日本大震災により区民の危機意識も向上し、24年度は33件となりましたが、時間の経過もあり危機意識が低下する中、26年度ではわずか7件となってしまっています。台東区耐震改修促進計画の目標である耐震化率90%には及ばず、現在85%にとどまっています。
国では、国土強靱化アクションプラン2015などにおいて住宅などの耐震化率を32年までに95%とする目標を定め、計画的な耐震化の促進を図っています。
台東区においても、長期総合計画では、現在85%の住宅の耐震化率を36年度には96%に引き上げるとしています。行政計画では、今後3年間、各年度26件が目標数値となっておりますが、26年度の実績を見ると、現状の制度のままで達成できるのか甚だ疑問です。また、建替えなどによる耐震化率の向上があるとはいえ、このペースで大丈夫なのかとの懸念もあります。区長も述べられている倒れにくいまちを実現するにはさらなる制度の充実が必要なのではないでしょうか。
先日の企画総務委員会において、木造住宅の耐震改修工事助成事業を利用された方の平均的な工事費用を伺ったところ、26年度では約300万円とのことでした。現在の助成制度では耐震化の重点地域内の住宅では工事費用の3分の2が助成されますが、上限が120万円、その他の地域では2分の1の助成で上限100万円以内であり、重点地域内の方で180万円、その他の地域では200万円が自己負担となります。
消費税も上がり建設コストも上昇している中、制度利用者の負担がふえている現況が耐震改修に踏み切れない状況となってしまっていることがあるのではないかと危惧します。また、個人商店など住宅兼店舗の多い台東区では、延べ床面積の2分の1以上が住宅という助成の対象要件がネックになっていることもあるのではないでしょうか。今年度、耐震計画が作成されますが、36年度耐震化率96%の目標を絵に描いた餅で終わらせないためにも、耐震改修助成制度を消費税増税、建設コストの増などの要因を考慮し実態に合わせた形で上限金額の引き上げを行うなど、制度の内容も検討すべきだと考えますが、区長の耐震化推進に向けた今後の取り組みについてご所見を伺います。

2点目は、防災訓練の充実について伺います。
9月6日に行われた本年度の防災指導者講習会に参加させていただきました。東日本大震災で被災経験を持つ講師のお話の中で、県や市がつくったものではなく、それぞれの地域に合わせた防災マニュアル・避難所運営マニュアルの作成が重要とのお話がありました。まさにそのとおりで、区も3.11以来、45ある避難所において避難所運営委員会の開催を進め、避難所運営マニュアルのたたき台を提示し、それぞれの避難所ごとのマニュアル作成を推進すべく頑張っています。しかし谷中地区の3つの避難所が合同マニュアルを作成したにとどまっており、現在のところ、マニュアルの作成は進んでいません。大震災に備え、避難所ごとのマニュアルづくりは喫緊の課題であります。
先日、静岡県に視察に伺い、HUGを体験させていただきました。HUGは静岡県が開発したカード型防災ゲームです。避難施設である学校の平面図に参加者で意見を言い合いながら避難者の年齢や性別、それぞれが抱える事情などが書かれたカードを配置したり、避難所で起こるさまざまな出来事に対応していくのですが、ゲームを行うことで避難所マニュアルを作成する上で検討しておかなくてはならない課題やその課題解決に向けての判断材料も整理することが可能となります。実際に避難所運営を行う際にも起こり得ることばかりなので、事前にこういった具体的なシミュレーションを行っておくことは大変重要だと再認識いたしました。
また、池袋防災館では災害図上訓練であるDIGを体験させていただきましたが、消火資器材の場所や危険地域などを図面に書き加えようとしてみると、正確に記憶していないことが多く、いざというときの備えができていないということも再確認できました。
区では避難所ごとの防災訓練に際し発災対応型や消火資器材マップなどの提供でより実践的な訓練を推進しておりますが、HUG・DIGといった状況付与型訓練を体験することのメリットは大きいと思っています。23年度の予算特別委員会総括質問などではこれら訓練の実施を検討するとの区長答弁がなされていますが、いまだ実施には至っておりません。ぜひとも台東区の地域性を踏まえたHUGやDIGなどの状況付与型訓練を区が提供できる訓練素材として加えるべきと考えますが、区長の所見を伺います。

次に、戦略的な広報の実現に向けた取り組みについて伺います。
広報戦略は、定住促進を推進するため、また多様化したライフスタイルを持つ区民の方々に効果的に施策を伝えるため、今後さらに重要となってきます。昨年4月に報告された長期総合計画策定のための基礎調査結果では、過去の流入世帯ではファミリー世帯の比率が高いことをベースに人口増や人口構成が試算されていて、人口構成が比較的現状と変わらないまま21万人にまで増加していくとの将来推計が示されました。しかし、国や都では間違いなく少子高齢化が進行していて、定住促進に向けての対応を推進せずして将来推計どおりにいくのかと大いに危惧しています。
各自治体では、定住人口の増加や年齢層・世帯構成などバランスのよい人口構成を目指していくために子育て世帯流入に向けての施策を充実し、定住促進に力を注いでいます。さらに情報発信を定住促進のための重要なツールとして活用するため、それら施策が魅力あるものと認識していただけるよう広報戦略の専門家を活用するなど、情報発信の強化に向けた取り組みを推進している自治体がふえてきています。
台東区においても、服部区長就任後直ちに戦略的な広報活動の推進に向けて広報課を新設、情報発信の充実に向けて取り組んでおられるとは思いますが、現在区が行っている情報発信はテレビや新聞などに対するパブリシティーや区独自の媒体である広報たいとうやケーブルテレビ、ホームページやメールマガジンなどがあり、媒体の種類をふやすなど、情報発信を充実してきております。しかし、その内容は観光情報や区が行う事業紹介であり、単なる告知の域を出ません。
スマートフォンなどの普及もあり、常時大量の情報が流通している現代社会においては、情報を受け取る側が興味を持ってもらえるような工夫がなければ情報として認識してもらえない時代になってきており、行政における情報発信の手法も変化せざるを得ない時代になってまいりました。区が発信する情報が魅力あるものとわかってもらえるよう情報の見せ方についても工夫が必要であり、内外に効果的に発信していくことが重要です。また、施策の効果を最大限発揮するためにも、各種媒体によっての特性をしっかりと認識し、情報を受け取る側の特性に合わせた内容や表現方法など、伝えたい相手に伝わり行動を促すような工夫が必要です。さらに、チラシなどの紙媒体などはそれぞれの所管で作成されており、広報課の関与がない現況も問題です。専門家ではない担当所管では、どんなターゲットにどういった行動を起こしてもらうのか、そのための広報戦略を考えることは非常に難しいのではないでしょうか。
広報課を新設したのですから、魅力あるものとわかってもらえるようなデザインや表現の工夫、各種媒体や情報を受け取る側の特性に合わせた情報発信、全ての広報物に対する広報課の関与など、台東区のブランド力向上に向けて広報戦略の基本方針を作成し、来街者対応だけでなく、定住促進にもしっかりと寄与し、施策の効果を最大限発揮できるような情報発信を行っていくべきです。また、戦略的な広報を実現するためにも民間活力の導入を図り広報機能を充実させるべきと考えますが、区長の所見を伺います。

次に、ファミリー・サポート・センター事業の推進について伺います。
ファミリー・サポート・センター事業は、育児の手助けができる提供会員と育児の手助けが必要な依頼会員を募集・登録し、依頼会員からの依頼に応じて依頼の手助けを行う事業です。行政計画事業にも位置づけられており、前行政計画では、援助活動件数、目標1万件に対し7,724件と目標達成には至りませんでした。
子育て世帯流入促進に向けての対策として、保育施設などの充実も重要な取り組みではありますが、在宅子育て支援の充実もあわせて行っていかなくてはなりません。女性の社会での活躍が推進され、保育施設などが充実されることに伴い、保育施設などの開始前や終了後の預かりなどを行うファミリー・サポート・センター事業の需要は今後ますます増加していくことになるでしょう。それら需要に対応していくためにもしっかりと推進していかなくてはなりません。
27年5月末では、依頼会員2,373名に対して提供会員は386名と、会員数のバランスがとれていません。希望時間帯などが重なることもあり、希望したときに利用できない状況など、少しでも改善していかなくてはなりません。そのためにも提供会員をふやす取り組みが必要です。
現在のルールでは原則提供会員の自宅預かりとなっておりますが、例えば子ども家庭支援センターや児童館、生涯学習センター、区民館などのスペースにおいて、利用状況の低い時間帯などを提供会員が活用できる場としたらいかがでしょうか。区有施設のスペースを活用することが可能となれば、自宅では困るけれど場所があるならという方や保育系の学生などが提供会員になりたいという場合もあるかもしれません。また、利用者には複数の目があるところで預かってもらえる安心感もあります。区有施設のスペースを提供会員が活用できる場とし、その場所での預かりを可能とするなど、区としてファミリー・サポート・センター事業をよりバックアップする姿勢を示し、提供会員をさらにふやす取り組みや、利用者が預けやすいよう、また提供会員が活動しやすいように推進に向けた取り組みを行うべきと考えますが、区長の所見を伺います。

最後に、効率的・効果的な組織体制の強化について伺います。
新聞報道によれば、全国の学童保育の利用者が今年度初めて100万人を超え、待機児童数は調査を始めた2003年度以降で最多となったとの記事がありました。台東区でもこどもクラブを23カ所に拡大し、定員数も1,175人と増加させておりますが、待機児童数は昨年の28人に対し今年度は52人と増加しています。
区は、待機児童対策として、来年度、石浜小学校において放課後全児童対策事業の新たなモデル実施を行う予定であり、千束小学校に続き、青少年・スポーツ課が担当することとなっています。こどもクラブは児童保育課の担当ですので、小学生の放課後の居場所づくりを担当する部署が分かれてしまっています。
将来のこどもクラブが受け入れ先となり得る保育施設は29年度待機児童ゼロを目指し、さらに充実する予定となっていて、今後もこどもクラブの需要はますます増加していきます。行政計画では、こどもクラブを今後2カ所設置することとしていますが、計画以上の場所を確保するのは現実的には難しいのではないでしょうか。
今回の石浜方式の全児童対策事業は、増大する小学生の放課後の居場所づくりにおける解決手段の一つとなり得るのではないかと思っています。課題を抱える小学生の放課後対策をしっかりと検討していかなければならない状況を考えれば、担当する部署が分かれてしまっていることのデメリットは大きいのではないでしょうか。また、利用者にとってもわかりづらい状況となっています。
さらに、こどもクラブのあり方によっては今後の児童館の役割も変わってくる可能性が高く、現に全児童対策を実施している自治体では、児童館のあり方が変化しています。子供の居場所づくりの需要が増加していく現状を考えれば、しっかりとした対策を実施するため、こどもクラブ、放課後全児童対策事業、児童館、そして子育て支援課が所管している一般型の子ども家庭支援センターも含め、一体で計画立案、管理運営ができる体制を構築すべきと考えます。
また、同様に担当部署が分かれてしまっているがために効果的・効率的な事業展開がなされていないと思われる施策に介護予防事業があります。
昨年、介護保険法の改正が行われ、団塊世代が75歳以上の高齢者となる2025年を目途に地域包括ケアシステムを構築することとなっています。このシステムは、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供できるようにし、介護が必要になっても住みなれた地域で安心した生活ができるようにするといったものです。
現在、台東区では介護保険法に基づく給付事業は介護保険課、地域支援事業で地域包括支援センターの運営にかかわる部分は高齢福祉課、介護予防事業は保健所の保健サービス課といったぐあいに3課が役割を分担して所管しています。保健サービス課が所管している介護予防事業には1次・2次の2つの予防事業があり、1次予防事業では比較的健康な高齢者、いわゆる元気高齢者を対象とした健康体操の教室などを、そして2次予防事業では要支援状態になるおそれがあるとされる高齢者を対象とした水泳教室などを実施しています。しかし、現在の事業では健康増進センターなどに自力で通っての教室が大半であり、介護認定を受けていない長距離の外出が困難な高齢者への介護予防事業がほとんどありません。自宅や身近な場所で介護予防を行えるサービス内容を実施し、切れ目のない介護サービスを実現すべきと考えます。
また、要支援状態になるおそれがあるとされる高齢者を認定するための基本チェックリストを行う総合健康診査の受診率は約4割と決して高くはなく、現実的な介護予防対象者を十分に把握し切れていません。実際の要支援のおそれのある高齢者の把握は高齢福祉課が所管の地域包括支援センターがデータを持ち、介護予防プランを作成しています。そのため、介護予防事業の実施所管である保健サービス課との連携ができているのか、また今後もできるのかとの懸念があります。
法改正を受けて、29年4月までに要支援の方を対象としたサービスの一部が地域支援事業に移行され、新総合事業が始まります。新総合事業では、要支援認定者だけでなく、基本チェックリストで該当した方などが介護予防・生活支援サービスを受けることが可能となります。地域包括支援センターで個々人に合ったプランがつくられることで家庭や通所施設などで介護予防が可能となりますので、効果的な事業展開が期待できる状況となるはずです。
第6期の高齢者保健福祉計画を見ても、介護予防事業の推進は重点事業に位置づけられています。しっかりとした介護予防対象者の把握、そして切れ目のない介護サービスの実現に向けて、対象者把握から介護サービスの提供までを一体的に管理運営するための組織体制をしっかりと構築すべきと考えます。
以上申し上げたとおり、子供の居場所づくりや介護予防など所管が分かれていることによって適正な管理運営がなされているとは言えない現状は改善すべきであり、効果的・効率的な組織体制の強化に向けた取り組みを行うべきと考えますが、区長の所見を伺います。
以上4点お伺いさせていただき、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

区長 答弁。

「 早川議員のご質問にお答えいたします。

ご質問の第1は、震災対策の強化に向けた取り組みについてです。
まず、建築物の耐震化については、区はこれまで地震により想定される被害の軽減を目指し、区民の生命と財産を保護するため、区内の住宅や建築物の耐震診断や耐震改修に対する支援を総合的に実施してまいりました。また、今年度からは地域の防災訓練の機会を捉えて耐震化の臨時相談窓口を開設するなど、より身近な場所での普及啓発にも努めております。議員ご指摘の助成の内容については現在、各課の連携のもと取り組んでいる耐震改修促進計画の改定において検討してまいります。今後も私は自助・公助・共助の原則からバランスのよい耐震化施策を推進してまいります。
次に、災害図上訓練DIGや避難所運営ゲームHUGについてです。区ではこれまでも避難所運営組織の立ち上げや資器材の取り扱い訓練を行い、災害対応力の底上げに努めるとともに、過去の議会の提案も踏まえ、これらの訓練についても検討を進めてきたところです。DIGにつきましては、昨年度の防災指導者講習会のテーマとして町会の防災担当者向けに体験機会を設け、普及に着手しました。また、HUGにつきましても、避難所単位防災訓練の実施状況を踏まえて早期の導入を予定しています。今後とも本区の地域性や避難所ごとの特性を踏まえた、より実践的な体制づくりに努めてまいります。
ご質問の第2は、広報についてです。
私もこの広報を戦略的に捉えることは重要なことと考えています。情報の発信に当たっては、情報量、迅速性や読者層など広報媒体の特性を踏まえ、適切に活用する必要があります。また、例えば報道発表した内容については即時に区の公式ホームページに詳細を掲載するなど、広報媒体間の連携を図っていくことも重要です。そこで、媒体の有効活用や連携を主眼に置いた効率的かつ効果的な広報を行っていくための基本的な考え方を定めてまいります。この考え方に基づき、全庁を挙げて台東区の魅力を伝えることで区内外に向けた施策の効果をさらに高めてまいります。議員ご提案の民間活力の導入につきましても、この検討に含めて考えてまいります。
ご質問の第3は、ファミリー・サポート・センターについてです。
ファミリー・サポート・センター事業は、地域の方々のご協力により、一時的に育児の手助けが必要な子育て家庭を支援する活動として、現在午前6時から午後11時まで及び宿泊を伴う預かりを年間を通じて行っております。本事業のさらなる充実に当たっては、より多くの提供会員になっていただくことが重要です。そのため、区の広報媒体等を通じてファミリー・サポート・センターのPRに一層努めるとともに、説明会・講習会の回数の増加や参加しやすい曜日や時間帯の工夫など、募集機会の充実を図ってまいります。また、子ども家庭支援センターなど区有施設の活用については、施設の状況や提供会員の意向などの課題を整理しているところです。実施については今後検討してまいります。
ご質問の第4は、効果的・効率的な組織体制の強化についてです。
区の組織は区民サービスの一層の充実と効率的な行政運営を目指すため、社会状況や区民ニーズの変化に応じて適宜見直しを図りながら、常に最適な体制を整備していく必要があります。放課後対策や介護予防につきましては、現在複数の所管が適切な役割分担のもと連携を図りながら事業に取り組んでおります。しかしながら、国の制度改正などに的確に対応し、より効果的にサービスを提供するためには、効率性の確保、あるいは一体的な実施といった点に課題が生じてきていることは私も認識をしています。そこで、今後の放課後対策の推進や介護予防の新総合事業への移行に向けては、組織の枠を超えた横断的な連携の強化はもとより、組織改正も視野に入れながら最適な実施体制を検討してまいります。」