一般質問全文 (平成29年第3回定例会)

早川太郎 質問。

「つなぐプロジェクト、早川太郎でございます。今回は、大きく3点、区長に質問・提案させていただきます。

まず初めに、バリアフリー対策の推進について伺います。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開幕まで、とうとう3年を切りました。1964年に開催された前回の東京オリンピックでは、日本の大都市圏を結ぶ輸送手段としての東海道新幹線開通や首都圏の交通網を発達させた首都高速の建設、また、羽田空港から都内へのアクセスを高めるためにつくられた東京モノレール羽田空港線の開通など、東京の首都機能を飛躍的に向上させたインフラ整備が行われ、首都東京が世界的都市へと変貌する契機となりました。今回のオリンピック・パラリンピック開催の意義として、読売新聞の記事に、東京パラリンピックの開催は、障害者スポーツの祭典としてだけでなく、超高齢者社会を迎えた日本にとって、障害の有無や年齢、性別などの違いを超え、誰もが活躍できる社会へと変わる契機となることが期待されるとの記載がありました。まさにそのとおりで、今回のパラリンピック開催が台東区としてもユニバーサルデザインの考え方をしっかりと根づかせていく契機となるよう、施策を展開すべきと考えます。
区ではバリアフリーの推進を図るべく、平成23年度と24年度に策定した台東区バリアフリー基本構想に基づき、区内全域を重点整備地区としています。高齢者や障害を持つ方々が多く利用される施設を生活関連施設、その施設を結ぶ道路を生活関連経路と位置づけ、各事業者が行う具体的なバリアフリー整備の内容をバリアフリー特定事業計画として作成、この計画に基づき、区有施設や公共交通事業者などのバリアフリーへの取り組みを後押ししてきました。東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、各事業者の努力もあり、鉄道駅などを初め、エレベーターや多機能トイレなどの設置が当初計画よりも早期に完了した施設も数多くあり、区内のバリアフリー整備は着々と進んでいると言えます。
しかし、バリアフリー特定事業計画は、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定する前につくられた計画です。各事業者が台東区のまちのバリアフリー化に努力されていることは重々承知していますし、一度作成した計画を計画どおりに着々と進めていくことの重要性は十分認識しておりますが、パラリンピック開催という大変大きなファクターがあったにもかかわらず、新たな計画の作成や、区として推進するための新たな施策の追加などが目に見える形であらわれていないことに物足りなさを感じずにいられません。
東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、区は長期総合計画や行政計画にもオリンピック・パラリンピック競技大会関連事業を別枠で設定し、さまざまな事業を推進しています。障害者スポーツの推進では、誰もがスポーツできる環境を整備するため、障害者スポーツの体験会開催や人材育成などを新規で事業化しています。また、台東区オリンピック・パラリンピック教育プランを定め、ユニバーサルマナーなどの心のバリアフリーを推進することで、おもてなしの向上にも努めています。
計画策定以後になされた新たなバリアフリー対策事業では、紙媒体であったバリアフリーマップをデジタル化し、たいとうマップに追加しています。先日策定された情報化推進計画では、スマートフォンへの対応やルート検索機能など、公開内容を充実するとなっておりますが、公共施設や駅などの交通施設が大半で、民間施設の記載は数えるほどしかありません。2016年には、障害を理由として正当な理由なくサービスの提供を拒否したり制限したり条件をつけ足したりするような行為を禁止する障害者差別解消法が施行され、民間事業者に対しては努力義務を課した上で、対応指針によって自主的な取り組みを促すこととしております。また、区内では、ホテルを含む新規施設が数多く開業しています。施設のアップデートを行っていることとは思いますが、現在のマップに記載されている以外にも、バリアフリー対応の民間施設が区内にはまだまだ存在しているのではないでしょうか。バリアフリーマップへの民間施設のデータを集めるため、また、バリアフリー対応の施設を増加させるための、例えばユニバーサルデザイン認定制度の創設やバリアフリー推奨ルートの提示なども検討すべきかもしれません。また、バリアフリー対応の施設情報を充実した上でオープンデータ化し、アプリコンテストを開催、民間の知恵をかりるという手もあります。
オリンピック・パラリンピック開催まで3年を切り、ユニバーサルデザインやバリアフリーへの機運が高まっている今こそ、台東区内にバリアフリー対策を推進するチャンスなのではないでしょうか。台東区民だけでなく、来街者の方々を含めた高齢者や障害を持つ方、妊産婦や幼児連れの方々など、分け隔てなく誰もが安全・安心、便利で快適に過ごせる台東区を目指し、今回のパラリンピック開催が台東区のユニバーサルデザインやバリアフリーをしっかりと形づくっていく契機となるよう、今まで行ってきた事業を、より有効的に活用できるようなバリアフリー対策の推進をしっかりと行っていくべきと考えますが、区長の所見を伺います。

次に、障害者施設の整備について伺います。
台東区においては、障害者施策推進の基本的な考え方として、ノーマライゼーションの理念のもと、人と人とが人格と個性を尊重し合いながら、障害のある人もない人も、ともにいきいきと暮らせる社会の実現を基本理念としています。
台東区障害福祉計画では、暮らしを支える環境の確保を基本目標の一つとし、障害者がみずからの暮らし方を選択し、障害にかかわらず、生まれ育った地域で生活していくことができるよう、居住環境の整備が必要であるとして、在宅サービスの充実や住まいの場の確保などに努めています。
居住環境の整備である知的障害者グループホームの整備では、昭和63年の松葉寮開設から平成25年開設の今戸ほうらいまで12施設の整備を行っており、現行の第4期計画では、今年度までに第3期計画の持ち越し分である1施設を含め4施設の開設を目標としてきました。しかし、建築基準法や消防法の基準に合致しないなどの理由により整備が進まず、現計画年度では平成30年に1施設の開設が予定されているのみにとどまっています。知的障害者のグループホームは、実態調査の結果や障害者団体からの要望などからも、今後もニーズは増加していくことになると思われますし、保護者の高齢化という課題もあり、ますます施設整備の必要性は高まっていくことでしょう。さらに、生まれ育った地域で生活していくことを目標に掲げるなら、地域的な偏在も考慮に入れて整備を進めていかなくてはなりません。
日中活動の場の整備である生活介護施設の整備についても、現在4カ所の施設が整備されておりますが、第4期計画の目標数2カ所については、計画年度内の開設は非常に困難であると言わざるを得ません。現在の4カ所の施設の利用者は、既に定員数に近づいています。今後の特別支援学校の卒業予定者数は、ここ数年は増加傾向にあり、また、高齢化により、福祉的就労から生活介護へ移行する見込みも考慮すれば、近々生活介護を利用したくても利用できる施設のあきがないといった状況となってしまいます。両施設の整備は、区の障害者施策の喫緊の重要課題であります。
また、障害者の日中活動の場の中核的な施設として位置づけられている松が谷福祉会館についても課題があります。松が谷福祉会館は、障害者のための区内初の障害福祉施設として昭和50年に開館しました。しかし利用者の増加やサービス事業の拡大により、身体障害の生活介護施設であるつばさ福祉工房や知的障害者の入所生活介護施設の浅草ほうらいが開設、当初の事業が他施設へ移管され、現在は子供の療育事業や障害者デイサービス、相談支援事業、就労移行支援事業などが行われています。昭和59年に改築が行われておりますが、既に30年が経過しており、施設自体の老朽化が大変進行しています。事業移管後も既存設備をそのまま活用しており、事業内容と設備がマッチしておらず、有効にスペースが活用し切れていないと感じますし、低利用、未利用のスペースも存在しています。
また、本年3月に策定された台東区発達障害児(者)支援方針によれば、松が谷福祉会館における療育事業のニーズは増加傾向にあり、また、利用対象者の年齢引き上げを予定しています。これらの状況を考慮すれば、現在のスペースではとても対応し切れません。さらに、日中活動の場の中核的な施設として位置づけられているのなら、障害者ボランティアの育成やサロン機能の充実などの課題に対応したスペースの確保も必要です。松が谷福祉会館は台東区公共施設保全計画において中期保全計画1期目の施設に指定されており、早ければ平成32年度より大規模改修を行う予定となっています。その大規模改修に際しては、施設自体の単なる改修を行うだけでなく、利用者の利便性や台東区の障害者施策の方向性を考慮した上で、松が谷福祉会館を今後どういった位置づけで運営していくのか、事業の再配置を含め、しっかりと検討した上で改修すべきと考えます。
障害者施策のセンター機能としての役割を担い得る施設とするのか、また、特定分野や年代に主眼を置いた施設とするのか、障害者福祉サービスは今後予想される利用者の増加やサービスの質の向上、さらには需要が増大してくる福祉サービスへの対応など、今後事業スペースの拡大は必須です。どちらの方針を選択したとしても、現在の松が谷福祉会館のキャパシティでは限度があり、新たな事業スペースの確保は必須となります。そのスペースの確保には相応の時間が必要となってくるでしょう。また、改修期間の仮施設の確保についても、施設によっては相応のバリアフリー対応が必要であり、その準備も進めていかなくてはなりません。松が谷福祉会館のあり方の検討は、改修時期を考慮しても、早急に進めていかなくてはなりません。台東区の障害者施策の拠点である松が谷福祉会館のあり方を一刻も早く検討し、大規模改修に備え早期に結論を出すべきと考えますが、区長の所見を伺います。

また、グループホームや生活介護などの整備は計画どおりしっかりと実現させていかなくてはなりません。遅々として進まない現状を鑑みれば、低利用、未利用の区有地、区有施設などの活用も積極的に検討していかなければならないと考えますが、今後の障害者施設設備についての区長の所見を伺います。

最後に、保健所の子育て世帯におけるデータ管理の充実について伺います。
国は児童虐待について、発生予防から自立支援まで一連の対策のさらなる強化などを図るために、平成28年度より児童福祉法などの改正を行っています。今回の改正では、全ての児童が健全に育成されるよう、児童を中心に、その福祉の保障などの内容が明確化されるとともに、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援などを通じて、妊娠や子育ての不安、孤立などに対応し、児童虐待のリスクを早期に発見、逓減するとして、母子保健法において母子保健施策が児童虐待の発生予防、早期発見に資するものであることに留意すべきことを明確化し、母子健康包括支援センターの設置が法定化されました。
また、児童福祉法では、市区町村は、児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努め、情報提供を行い、必要な調査及び指導を行うことと明記されたほか、関係機関は支援を要する妊婦などに関する情報を市区町村に提供するよう努めなくてはならなくなりました。さらに児童の安全を確保するための初期対応などが迅速、的確に行われるよう、市区町村などの体制や権限の強化などを行うことが求められています。
現在、台東区では、保健所の担当事業として妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うため、妊娠期のゆりかご・たいとう事業や乳幼児健診、乳児家庭全戸訪問、育児相談などなどさまざまな事業を行い、子育て世帯の妊娠や子育ての不安、孤立などに対応するとともに、児童虐待のリスクを早期に発見、逓減するよう努めています。しかし、現在の保健所では、子育て世帯における個々のデータ自体が一元管理されておらず、昨年の決算特別委員会の答弁によれば、乳幼児健診の個々のデータは手書きで行われる母子カードという紙媒体を基本として管理が行われており、ゆりかご面接の実施状況など、一部の情報のみがシステムで進行管理を目的に管理されているとのことでした。子育て世帯のデータ管理を紙とシステムとの二重で行うことには、効率性や管理の面から多くの課題があります。
例えば、紙媒体でのデータ管理は、台東保健所と浅草保健相談センターの2カ所で行われており、必然的にデータを保管しているこの2施設での対応を余儀なくされます。わずか10平方キロの台東区ではありますが、利用施設の制限は利便性を損なってしまっています。実際に浅草保健相談センターのほうが行きやすいのに、自動的に台東保健所に振り分けられてしまい、非常に通いにくいなどの声も聞いています。紙とシステムとの二重管理は、情報検索の迅速性や情報のそごのリスクも含め、正確性に疑問が生じ、カードの保管場所スペースの確保も必要です。
また、要保護児童対策として、台東区は子ども家庭支援センターへ課長級ポストを配置したり相談員の拡充など、組織的な機能強化を図っています。児童相談業務が年々増加し、事例的にも複雑化してきていることから、情報を一元管理し、連携強化・迅速化を図るための児童相談支援システムも導入しています。しかし、子育て世帯と一番接点を持っているはずの保健サービス課とのデータ連携システムは構築されておらず、児童の安全を確保するための初期対応などが迅速、的確に行われるような体制整備がなされているのか甚だ疑問を感じます。このような状況で、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援や児童虐待のリスクを早期に発見、逓減できるような体制整備は十分なのでしょうか。全ての児童が健全に育成されるような体制整備を行うのなら、子育て世帯の妊娠期からの母子情報や家族情報、サービス利用の状況などを一元管理し、保健サービス課や子ども家庭支援センターはもとより、子育て・若者支援課や障害福祉課、保健予防課、保護課など、関係部署との迅速な情報共有及び支援体制の構築が必要だと考えます。
さらに、セキュリティ面、台東区においても個人情報の紛失事例が昨今起こってしまいました。個人情報は外部に流出することなく、結果として事なきを得ましたが、個人データを持ち歩く部門として、紙ベースの情報管理は大変なリスクを伴います。個人データのデジタル化を図り、タブレット端末を導入することでセキュリティはかなり向上します。仮に紛失、盗難された場合でもセキュリティ機能が施されているタブレット端末なら、個人情報流出のリスクは激減します。また、現在は複数の個人データを持ち歩くことが禁止されておりますが、タブレット端末が導入されれば、一度の外出で複数箇所を訪れることが可能になります。重大な事故を防ぐためにも、効率的に業務を遂行する上でも、情報のシステム化・一元化、そして外出時のタブレット端末の導入は必須なのではないでしょうか。
子育て世帯の情報管理をシステム化・一元化することで、検診や相談などの利用施設制限がなくなり、ワンストップサービスの推進につながります。また、情報検索の迅速化や正確性の担保に寄与し、業務の効率性を向上、事務スペースの有効活用にもつながる、セキュリティも格段に向上します。さらに、関係機関とデータを連携することで、総合的な情報把握を行うことが可能となり、要保護児童対策を含め、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を迅速に行うことが可能となるのです。
豊島区など、既に実施済みであり、23区内の複数の区でもシステム化・一元化に向けた検討を既に始めています。新たな情報化推進計画にも、保健所のシステム化によるサービスの向上が記載されており、目標年度の平成32年には推進となっておりますが、平成31年度の浅草保健相談センター移転の際に、母子健康包括支援センターの拡充機能を円滑に実施するのなら、早急に情報管理のシステム化及び関係機関との連携を含めた一元管理の検討などを進め、開設時には運用できる体制を整えなくてはならないと考えますが、区長の所見を伺います。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。」

 区長 答弁。

 「早川議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第1は、バリアフリー対策の推進についてです。
台東区では、バリアフリー特定事業計画に基づき、区内全域の各施設や道路等のバリアフリー化を推進してまいりました。また、心のバリアフリーについては、啓発用リーフレットの配布や事業者向け講習会の開催、小学校での高齢者疑似体験などを実施し、その重要性が浸透するよう取り組んでいます。このほか、今年度中にバリアフリーマップのスマートフォン対応など、ソフト面での充実に向けてリニューアルを行います。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、高齢者・障害者、子育て中の方や外国の方など、全ての人々に安心して訪れていただける台東区を目指していきたいと考えています。
今後も、特定事業計画の早期実現や心のバリアフリーの啓発に努めるとともに、これまでの取り組みで得られた成果や情報を有効に活用しながら、バリアフリー対策を一層推進してまいります。
ご質問の第2は、障害者施設の整備についてです。
松が谷福祉会館は、昭和50年の開設以来、障害者支援の中核的施設として乳幼児から成人までさまざまな障害のある区民や関係団体の活動の場として広く利用されています。しかしながら、近年では、こども療育室のニーズが増加傾向にあります。そこで本区は、ことし3月に策定した発達障害者に対する支援方針において、療育対象年齢を段階的に引き上げるなど、よりきめ細やかな療育を提供できる体制を目指すこととしました。加えて、障害者デイサービスも定員に近づくなど、今後予想される障害福祉サービスの増加への対応が大きな課題であると考えています。
こうした状況を踏まえ、松が谷福祉会館のあり方については、老朽化が進行していることからも、早期に大規模改修が実施できるよう、発達支援に関するセンター機能などの整備とあわせて検討を進めてまいります。また、グループホームや生活介護施設など、障害者施設の整備については、区有地、区有施設の活用を含め取り組んでいます。
ご質問の第3は、保健所の子育て世帯におけるデータ管理の充実についてです。
現在、乳幼児健診や育児相談などの記録については、システム及び紙媒体の母子カードによって管理をしています。早川議員ご指摘のとおり、システムにより情報を一元管理することで、要保護児童対策を含め関係機関との迅速な情報共有を図ることができるとともに、区民サービスの向上も期待でき、個人情報管理の強化や事務の効率化にもつながります。
現在、平成31年度の浅草保健相談センター移転に向け、母子健康包括支援センター機能拡充への準備を進める中で、システムの構築についても検討を重ねているところです。今後とも、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を推進してまいります。」

 

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