予算総括質疑 (平成25年予算特別委員会)

早川太郎 質問

「無所属の会・台東、早川太郎でございます。4日間の予算審議を踏まえ、大きく4点について伺わせていただきます。

 初めに、長期総合計画と行政計画の関係について伺います。

 今回の予算案については、行財政基盤の強化をベースとした考え方に基づき、新たに改定された行政計画を踏まえ作成した旨の答弁がありました。審議の場において長期総合計画と行政計画の関係について尋ねると、区政運営において最高指針である基本構想が掲げる基本理念、基本目標を実現するための施策の方向、目標、手段を示すものが長期総合計画、そして、長期総合計画の計画目標の具体化を図るための計画が行政計画であるとの答弁をいただきました。
 これら計画の関係性から考えれば、計画目標の具体化を図る行政計画を踏まえ、予算作成を行うことは理解できます。しかし、今回新たに改定された行政計画では、最終年度が長期総合計画と同じになってしまっているにもかかわらず、計画における目標事業量が縮小されてしまった事業が2割以上にも上ります。
 委員会審議の場において理由を尋ねてみると、実績を勘案して現実的な計画事業量を設定したとの答弁がありました。財政状況の厳しい中、一見妥当性のある答弁のようにも聞こえますが、計画ですら目標としなくなったということは、結果として目標をかなえられなくなったのではなく、この段階でかなえる努力をやめたということではないのでしょうか。その中には、後ほど述べる建物の耐震化や省電力型街路灯整備など、災害対策、省エネ対策など、今こそまさに推進しなければならない事業が多く含まれています。3.11を受けて修正された長期総合計画策定時の思いが区政運営において薄れてしまったのではないかと思い、懸念しています。

 そこで、以下3点について伺います。

 まず1点目、長期総合計画に込められた区長の思いを今回の行政計画で変更せざるを得なかったということは、かなりの決断だと思います。区政運営におけるこの重大な決定はどのような仕組みで検討され、どのように決められたのでしょうか。

 2点目、上位計画である長期総合計画とその具体化を図る行政計画、目標事業量が異なってしまった事業について、26年度末における政策目標の整合性をどのように図るつもりなのでしょうか。

 3点目、長期総合計画の事業目標が1年たたずして行政計画で縮小されてしまう。進捗管理にも課題があったのではないかと思います。今後このようなことが起きないよう、次期長期総合計画立案時には、目標設定や進捗管理を含めて長期総合計画のあり方、立て方自体についても検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点について、区長の所見を伺います。」

区長 答弁

「早川委員のご質問にお答えさせていただきます。

 まず、行政計画についてでございます。今回の改定に当たりましては、地域防災計画の修正や待機児童対策など緊急の行政課題に対応するとともに、将来を見据えた行財政基盤の強化に向けた取り組みを踏まえた計画といたしました。
 各計画事業につきましては、各部からの提案に基づき、庁内ヒアリング、私へのプレゼンテーションを実施する中で、十分に施策の有効性、効率性、優先性を考慮し、財政的観点からの検討も行った上で素案を決定いたしました。その後、所管委員会における審議を踏まえ、最終案を決定したものでございます。

 次に、長期総合計画と行政計画との整合性についてでございます。
 改定後の行政計画事業につきましては、目標設定のあり方等を考慮しつつ、できる限り実績を勘案した事業量といたしました。そのため、長期総合計画の事業量と異なる事業もございますが、必要な取り組みにつきましては、計画期間が終了する平成26年度以降においても着実な推進を図る必要があるものと考えております。

 次に、次期の長期総合計画についてでございます。
 長期総合計画につきましては、計画期間や目標設定の方法等について、各自治体でさまざまな工夫を凝らして策定しているところでございます。こうした状況も踏まえ、今後、策定方法や手段、長期総合計画自体のあり方等につきましても検討してまいります。」

早川太郎 質問

「今、長期総合計画と行政計画の整合性、ご答弁いただきましたが、長期総合計画の目標を諦めたわけではなくて、今後も頑張っていきたいという意味だと思っています。検証する意味でも、これから具体的な施策、耐震化、省エネ施策について伺ってまいります。

 まず、耐震化の推進について伺います。
 今定例会の所信表明において、区長は災害対策の強化、子育て支援、健康づくりの3つの政策を特に取り上げ、着実に推進してまいりますと力強く述べていました。確かに、災害対策として地域防災計画の策定やD級可搬ポンプの配備、東日本大震災の経験を生かした女性用テント、ソーラー電源装置など避難所における備蓄品の充実、緊急医療救護所の設定など課題が山積の中、できることから確実に整備を進めることに対しては一定の評価をしております。
 しかし、台東区の災害対策の最重要課題である建築物の耐震化、さきにも触れさせていただきましたが、新たに改定された行政計画では、進捗実績が低いということを理由に、3.11を踏まえて修正された長期総合計画の目標数値に届かないばかりではなく、昨年12月に報告された行政計画の素案からも、わずか2カ月余りで目標が引き下げられてしまいました。
 避難所訓練での講演や倒壊危険度の高い地域への積極的な働きかけなど、審議の中でも提案させていただきましたが、まだまだ推進していく方法があるにもかかわらず、耐震化については予算額、事業量ともに今回の予算案では縮小されています。火災を出さない、広げない、そのためにも、耐震化の推進は台東区の災害対策において欠くことのできない最重要課題であるはずです。耐震化の推進なしに災害対策の強化が可能だとは私には思えません。災害対策の強化を打ち出している以上、耐震化の推進は実績見合いで事業量を減らすのではなく、目標達成に向けて積極的に取り組んでいくべき施策だと考えます。
 新たに改定された行政計画の事業数を目標にするのではなく、耐震改修促進計画の目標並びに上位計画である長期総合計画の事業量を目指して積極的に耐震化に取り組むべきと考えますが、区長の所見を伺います。
 また、審議の場では、耐震化推進に向けてさらに積極的な周知活動を展開するとの答弁をいただきました。推進のための周知活動を確実に実施していただき、助成件数をぜひ伸ばしていただきたいと切に願っておりますが、その際、予算額を上回る申請があった場合は補正予算等の財源措置を行うつもりがあるのでしょうか、区長の所見を伺います。」

区長 答弁

「ご質問にお答えさせていただきます。

 耐震改修促進計画においては、平成27年度までに住宅の耐震化率を90%とすることなどを目標に定めており、耐震改修のほか、老朽建築物の建てかえなどによって、その実現に向け引き続き取り組んでまいります。そのため、耐震診断や耐震改修などの事業につきましては、このたび改定した行政計画に基づき、周知活動を強化し、着実に実行してまいります。また、予算額を上回る申請があった場合は、耐震化率の目標達成に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。」

早川太郎 質問

「耐震改修促進計画での住宅の耐震化率90%を目指し続けるというご答弁でございましたので、長期総合計画の目標も目指して、耐震化に力を入れ続けていただけるということだと理解しました。その分の予算措置も対応していただけるということでございますので。先日の防災指導者講習会において、耐震化のパンフレットを配布していただいたようですし、今後もしっかり対応していただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。

 次に、省エネルギー施策について伺います。
 省エネ施策について、今回の審議を通じて幾つか質問をさせていただきましたが、残念ながら推進に向けての積極性が感じられませんでした。例えば、先ほどから述べている長期総合計画の目標から縮小されたものの中には、商店街外灯のLED化や省電力型街路灯整備が含まれています。昨今の電力料金の値上がりにより、街路灯維持の経費が23年度1億730万円から25年度予算では2倍弱、1億円近くも増加していて、今後さらに上がってしまう可能性も考えられるでしょう。
 街路灯の省電力化が進めば20%以上の削減効果が実証されているにもかかわらず、省電力街路灯整備は事業量、予算額ともに縮小されてしまいました。省エネ機器の家庭や企業への導入についても、エコアドバイザーの活用など、助成の仕組みを変更したことについては評価していますが、予算案では軒並み減額されています。
 区有施設についても、忍岡中学校改修計画の中で学校への太陽光発電の整備を取り入れていただいたことは大変評価していますが、区有施設全体の電気料金が23年度対比で9,000万円も上がってしまったばかりでなく、電力供給の不安定は続いていて、今回以降も節電対策を余儀なくされる状態が懸念されているにもかかわらず、積極的に省エネ機器の整備を進めようという意識がこの予算書からは読み取ることができませんでした。
 都は低酸素、快適性、防災力を備えたスマートエネルギー都市を目指し、家庭や事務所におけるエネルギーマネジメントの促進を図るとして、前年4,000万円から103億円に膨大な額の増額を行い、蓄電池8,500台、ガスコージェネレーションシステム1万9,000台等の整備を推進しようとしています。
 基本質問の補正予算についての質問に対し、国や都の施策について情報の収集、分析を行い、補正予算の編成なども含め、迅速に対応してまいりますとの答弁もありました。省エネ施策についてはランニングコストの上昇懸念だけではなく、社会情勢にも区民のニーズにも適合しているという認識のもと、重点課題として積極的に展開していただけると期待しておりますが、今後の省エネルギー施策について区長の所見を伺います。」

区長 答弁

「ご質問にお答えさせていただきます。

 省エネルギー施策を推進していくことは、環境にやさしい暮らしを次世代に引き継いでいく上で大変重要であると認識いたしております。
 そこで、平成25年度は新たに我が社の省エネチャレンジ事業を実施し、その事業所に合った、よりきめ細かな省エネの方法を提案いたします。また、太陽光発電システムの導入を検討している区民や事業者に対して、設置可能な容量や費用対効果のシミュレーション等を行うソーラー診断の実施により、環境負荷の低い再生可能エネルギーの普及を促進してまいります。さらに、区有施設のエネルギー情報を管理するシステムを導入し、施設ごとのきめ細かな状況の分析を行うとともに、省エネルギー設備の導入を図ってまいります。
 今後とも、省エネルギー施策を積極的に推進してまいります。」

早川太郎 質問

「ありがとうございました。
 今のご答弁でも、省エネ施策の推進は次世代に引き継いでいく上で大変重要なことと認識いただいているようですし、今後も積極的に推進してまいりますとの答弁をいただきました。耐震化や省エネ施策などはまさに今行うべき施策だと本当に思いますので、新たな行政計画の目標事業量にとらわれず、答弁をいただいたとおりしっかり対応していただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。

 最後に、区有施設の保全・保持・適正化について伺います。
 区有施設の多くは昭和40年代から50年代に建てられています。審議の中で大規模改修の周期を伺うと、一般的には25年を過ぎたものには大規模改修が必要であり、1,000平方メートル以上の施設93に対して、築25年、あるいは大規模改修後25年を超えている施設で改修計画が立っていないものは約30施設あるとの答弁をいただきました。これ以外にも、24時間365日稼働している特別養護老人ホームなどはその基準より短い周期での改修が必要であり、今後10年間でも45を超える施設の大規模改修が必要になってくることでしょう。
 平成18年に定めた区有施設保全計画も、中間のまとめ以降、計画は作成されずに現在を迎えていて、施設の保全維持は厳しい財政状況の影響を受け、後回しにされている印象は拭えません。大規模改修時に必要な仮移転場所の確保も、逼迫する行政需要に対応するための暫定活用によって、確保することが難しくなっています。このままの状態でいいのでしょうか。
 制度変更や時代推移により、行政に求められる施設は変化していきます。限られた区有施設をより行政需要にあった有効的な施設へと展開していかざるを得ません。建てかえや大規模改修が必要な老朽化施設は、検討に際して現状の機能のまま建てかえ、改修を行うのではなく、当然複合施設にしたり廃止するなど、施設の統合、再編の検討が必要になってきます。
 例えば、少人数学級対応が迫られる学校や国の新制度により対象が小学6年生までとなるこどもクラブなど、放課後対策のあり方を含め、児童館を含む施設整備の検討が必要であり、さらに、社会教育館や老人福祉館、区民館など、活用内容が類似する施設については、再編、統合を視野に入れた整備計画も検討すべきと考えます。
 施設の保全・維持計画には、ファシリティマネジメント、つまりは財政負担の平準化を初め、長寿命化、適切な施設数、効率的な利活用といった経営的視点を踏まえた基本方針を策定するということが重要です。以前の行政推進プランでは、基本方針は24年度中に策定される予定でした。しかし、施設保全システムデータの整備、検証がおくれてしまったために今回改定された推進プランでは2年おくれてしまったとのことでしたが、26年度に基本方針を策定し、その後、基本計画の検討を行うようでは、次期長期総合計画には間に合いません。長期総合計画に乗せられなければ行政計画にも反映できず、結果、計画性のない改修が行われ続けることを懸念しています。
 過去の実績を見ると、大規模改修の費用は10億円を超えるものも多く、改修が必要な施設数を考えればその費用は膨大です。その多額な経費の把握なくして、財政フレームの構築もあり得ないのではないでしょうか。一刻も早くファシリティマネジメントにかかわる基本方針を作成すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 またその上で、中長期的なスパンでの施設改修量と財政負担について、関係課を集めたプロジェクトチームなどの体制をつくり、今後の各施設のあり方を含め検討を進め、次期長期総合計画に反映できるように保全システムを構築するとともに、26年度までに区有施設の保全計画を整備していく必要があると考えますが、区長のご所見を伺います。」

区長 答弁

「ご質問にお答えさせていただきます。

 区有施設につきましては、適切な維持、保全を図っているところでございますが、委員ご指摘のとおり、その多くは老朽化が進んでおり、今後、更新や維持管理等に要する経費の増大が見込まれております。
 そのため、今後の施設整備につきまして、ファシリティマネジメントの考え方を取り入れながら計画的に進めていく必要があり、まずは平成24年度中に施設保全システムを整備いたします。さらに、25年度にはシステムの検証を行うとともに、施設の基本的な情報につきまして現況の取りまとめを行い、施設情報の一元管理の徹底化を図ってまいります。その後、区有施設の維持・保全・適正化に関する基本方針を定めるとともに、中長期的な展望に立った保全計画につきましても早急に策定してまいります。」

早川太郎 

「区有施設の保全計画、施設の再編を含めて検討することは、なかなか難しい作業だと認識はしています。先ほど区長にご答弁いただいたとおり、保全システムを整えていくことも大事だと思っています。ただ、他区の事例を見ますと、基本方針そのものはそれほど違いもなく、早くできるものだと思っておりますので、まずは基本方針をつくっていただいて、施設の保全システムが改築した上で同時並行的に計画をつくっていただけるよう、一刻も早くできるようにお願いしたいと思います。
 この計画の整備なくして、財政フレームの構築も新たな行政需要に対するしっかりとした対応もなし得ることはできないと思っています。答弁以上に早急に整備していただきたいと強く要望します。
 区有施設において、目標をしっかりと計画化することは大変重要であり、進捗管理を含め、その計画を実現していくために区は最大限の努力をすべきだと考えます。時代によって変化する行政需要に対応していくためにも、近い将来しっかりと施設を整備していくためにも、行財政基盤の強化を進めていくことは大変重要だと思っています。

 次期長期総合計画についても作成段階において検討いただけるようですし、他の質問に対しても区長の答弁どおり、いや、答弁以上にしっかり対応していただけると信じて、今予算に対しては賛成させていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

 

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