一般質問全文 (平成25年第4回定例会)

早川太郎 質問

「たいとうフロンティア、早川太郎でございます。今回は区有施設についての質問を大きく2点伺わせていただきます。

 平成17年に策定された長期総合計画は2度の修正が行われ、26年度に最終年度を迎えます。そのため来年度には新たな長期総合計画が策定されることになっており、次期計画策定の検討が進められていることと思います。区政運営の最上位計画である長期総合計画や、その目標に向けて3年後の到達目標、事業費総額及び年次計画を明示する行政計画の策定は、まさに今後10年間の台東区のあり方を決定する最も重要な事項でありますので、区有施設が抱える大きな2つの課題、決算特別委員会や予算特別委員会での総括質問でも取り上げさせていただいた区有施設の老朽化対策と指定管理者制度について、ぜひともその計画策定と同時並行で改善していただきたいと思い、今回改めて質問をさせていただきます。

初めに、区有施設の維持、保全、適正化について伺います。
 台東区の区有施設は昭和40年代から50年代に建設されたものが多く、一般的な大規模改修を行う周期である25年が経過しているにもかかわらず、改修計画すら立っていない施設が1,000平方メートル以上の施設93に対して約30施設あります。今後10年間では50を超える施設の大規模改修が必要になってきます。区は、区有施設の老朽化対策を行うべく平成18年に区有施設保全計画のための中間のまとめを行いましたが、計画作成までには至りませんでした。そのため、厳しい財政事情の影響を受け多額な費用を必要とする大規模改修はずるずると先延ばしになり、老朽化が逼迫したところから最小限に改修を行っているというのが現況ではないでしょうか。
 先日、企画総務委員会で視察に伺った福井市でも、行政サービスを安定的に提供していくための施設の最適化を図っていく仕組み、福井市施設マネジメント基本方針を本年2月に作成しています。基本方針を作成するための準備として、3年かけて個別施設の建物状況を確認し、地域ブロックごとの施設の設置状況や将来における福井市の人口バランスの変化、そして今後50年間の施設更新コストの試算などを行い、それら基礎データをもとに施設を取り巻く現況と課題を検討し、基本方針の策定に至りました。施設情報の一元管理では、施設に関する情報が継続的、一元的に集約できる体制を構築すべく、コストを含めた施設の全体像把握に努めています。その手段としてコスト情報やストック情報を各施設ごとに記載したファシリティマネジメントデータと名づけられたデータを来年の春までに策定予定とのことでした。コスト情報には、今まで見えにくかった人件費や事業費を含めて全ての行政コストを記載、ストック情報には、建物状況として老朽化、耐震、バリアフリーなど、医療状況として設置目的、利用対象、管轄エリアなど、そして運営状況として運営形態や運営人員、収入、支出などが記載されています。
 台東区においては、平成21年1月に区有施設の現況報告を作成、その時点での全ての区有施設349施設についての現況報告がなされています。その内容は設置規模、使用目的をもとに11の大分類を設定し、その下に施設名を基本とした中分類を設けています。所在地や面積、建築年月日などの建築データ、利用状況や収入は各施設ごとに記載されていますが、維持保全経費や光熱水費などの管理運営費は中分類ごとにしか記載されていません。区有施設の維持保全、適正化の推進に向けては福井市の事例も参考に、一定規模以上の施設については個別にコスト情報、ストック情報などを一元的に整備していくことも必要であると考えます。情報の一元化を図り、さらに定期的に情報の更新を行うことにより、保全計画の策定のみならず行政計画の検証材料としても活用できるものとなるはずです。
 しかしながら、台東区においては区有施設の現況報告以降、施設情報の更新がなされていません。そこで、福井市など他都市の事例も参考にしながら、さまざまな角度から施設情報を集積し、情報の一元化を早期に図るとともに定期的なデータ更新を行っていくべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
 さらに、少人数学級の対応が迫られる学校では、昨今の就学前児童数の増加により蔵前小学校など学区域以内の児童だけでも受け入れが困難になる学校があることも顕在化してきました。国の新制度により対象が小学6年生までとなるこどもクラブなど放課後対策のあり方などを含め、児童館を含む施設整備の検討は来年度中に結論を出さなければなりません。また、450人以上が入所待機者となっている特別養護老人ホームについても谷中や浅草などの施設の老朽が進み、改修は待ったなしの状況であります。このままの規模で介護保険料では賄い切れない運営コストを区が払い続けるのか、それとも保険料で施設運営が賄えるような規模の施設の建てかえも視野に入れ検討していくのか、早期に結論を出さなければならない問題も抱えています。
 制度変更や時代推移により行政に求められる施設は変化します。限られた区有施設をより行政需要に合った有効的な施設へと転換していかざるを得ません。建てかえや大規模改修が必要な老朽化施設は、検討に際して現状の機能のまま建てかえ、改修を行うのではなく、当然複合施設にしたり廃止するなど、施設の統合、再編の検討が必要になってきます。例えば社会教育館や老人福祉館、区民館など活用内容が類似する施設については再編、統合を視野に入れた整備計画も検討すべきと考えます。
 膨大な改修費用の把握によるしっかりとした財政フレームの構築や、限りある区有施設を新たな行政需要に反映するためのスペースの確保、大規模改修時に必要な仮移転場所の確保など、行政としてしっかりと行っていかなくてはならない重要な課題が放置されたまま現在に至っています。それら課題を解決するためにもファシリティマネジメントの活用による基本方針を一刻も早く定め、次期長期総合計画に反映できるよう早急に区有施設の保全計画を整備すべきだと思います。
 昨年度の予算特別委員会総括質問においての区長のご答弁は、24年度に施設保全システムを整備し、25年度には施設の基本的な情報の取りまとめを行い、施設情報の一元管理の徹底化を図り、その後基本方針を定めるとともに、中長期的な展望に立った保全計画を早急に策定していくという趣旨のものでした。25年度も半分以上が経過しましたが、基本指針や保全計画策定についてどのような課題があると認識しているのでしょうか。また、基本方針の策定に向けて、現在までの進捗としてどのような取り組みを行い、さらに今後どのように取り組もうとしているのか、あわせて区長のご所見を伺います。

 次に、指定管理者制度について伺います。

 指定管理者制度は平成15年9月に地方自治法の一部改正により創設され、地方公共団体やその外郭団体に限定していた区有施設の管理運営を指定管理者として民間事業者にも開放することが可能になりました。台東区においても平成16年より特別養護老人ホーム蔵前を含む3施設が指定管理者制度を活用した管理運営委託へと移行し、現在では56施設においてこの制度が活用されています。一部の施設では民間参入が促進され、サービスの向上、コストの削減などが進められています。しかし、そのうちの約7割36施設が外郭団体に委託されており、現行の指定管理者制度運用指針にのっとり、その全てが非公募で選定されています。原則公募により民間の知恵や工夫の活用を図ることにより区民サービスの向上を目指すことを目的として創設された指定管理者制度の運用がこのような状態で適切に行われていると言えるのでしょうか。
 区の指定管理に対するスタンスも明確ではありません。例えば老人福祉センターでは非公募で外郭団体に委託していますが、社会教育館では公募で民間に委託、民間になってよくなったとの認識を区も持っています。両事業は、高齢者と社会教育団体という対象者の違いはあれ、会館管理や教室など行っている管理運営事業に大きな違いがあるとは思えません。また、寿子ども家庭支援センターは民間に委託、同じ業務を行っている台東子ども家庭支援センターは直営で運営されています。民間委託で行っている寿子ども家庭支援センターも直営とほぼ遜色なく運営されていると聞きます。区有施設の管理運営主体や公募・非公募など区全体としての一貫性がないように感じられて仕方ありません。
 委託料についても問題があります。指定管理は原則、委託契約時におおよその年間委託料を決定すべきものであり、消費税の引き上げや電気料金の増減等によっては年度の委託料が増減することもあるでしょう。しかし、もともと区の求めている管理運営をしっかりと行っているのなら、経営改善などによる経費の減少は委託料にはね返られないものであるはずです。
 例えば、全ての特別養護老人ホームの委託料が25年度予算では前年度に比べ減額され、浅草や谷中では1割も減額されています。他の施設でも同様なケースが多く見られます。委託契約時の委託料の査定にも問題があったかもしれませんが、指定管理者制度を適用している以上、実績見合いでの減額は制度を適切に運用しているとは思えません。委託料についても実績見合いで減額するようなことのないよう、委託契約時にしっかりとした予算査定を行うべきであり、利用料金制の導入や債務負担行為の設定など、あり方について検討すべきです。
 そのほかにも指定管理者選定についての報告がなされた子育て支援特別委員会において、書類審査と面接審査の点数配分や継続性が重要視される教育関係施設や福祉施設での指定期間並びに継続特例についても見直しが必要であるとの指摘をさせていただきました。制度を運用して9年、指定管理者制度を導入している施設についての長所や短所もいろいろなケーススタディーとしてデータが蓄積されてきたと思います。昨年度の決算特別委員会総括質問において区長から、公募によらない選定の考え方など改めて整備することが必要になってきている部分もある、現行の指定管理者制度運用指針の内容については必要な見直しを検討していくとのご答弁をいただいております。あれから1年が経過しておりますが、指定管理者制度の見直しについてどのような検討が行われ、どのような課題認識を持っておられるのか、区長のご所見を伺います。

 現在、制度を導入している56施設について、現行制度が適切なものについては原則どおりプロポーザル方式での公募を行い、そうでないものは現行制度での委託はやめる、そういった仕分けをしっかり行うべきではないでしょうか。あわせて制度を活用していない施設についても直営で行うものと指定管理者制度を活用するものの再検討が必要だと思います。
 指定管理者施設56施設のうち27年度で契約が終了する施設が29施設もあります。その中には社会福祉事業団が委託先となっている特別養護老人ホームや児童館、芸術文化財団が委託先の文化施設などが含まれています。来年度にはこれら施設の選定が行われ、また児童館などは指定管理者選定だけでなく、子ども・子育て新システムへの移行のための検討も行われます。来年度、多くの施設が選定を迎える前に全ての区有施設の管理運営について指定管理者制度を導入するか否かを含めた方向性を示した上で一定のルールづくりを改めて行い、しっかりとした指針へ改善していくべきと考えますが、指針の改定時期も含めて区長のご所見を伺います。

 先日行われた決算特別委員会での総括質問においても述べたとおり、外郭団体への指定管理者制度での委託は外郭団体の存在意義さえなくしてしまうデメリットが顕在化してきました。例えば、社会福祉事業団はいつ公募に切りかえられても選定が受けられるよう民間並みの経営基盤の強化に向けた取り組みを優先せざるを得なくなり、コスト的にペイできない事業を積極的に展開できない体制になっています。セーフティーネットとしての役割意識が希薄になってしまい、外郭団体としての本来的な意味である区の補完的事業まで手が回らなくなってしまっているのではないでしょうか。外郭団体における指定管理者制度の運用を一刻も早く改善すべきです。
 もし、現在指定管理者制度を行っている全ての施設について、同制度を継続するのならセーフティーネットとして必要な福祉施設や寄贈者との約束がある文化施設など、区が本来は直営で行う必要のある施設を規定し、それらの指定管理者については現在の運用指針にある原則公募で、公募によらない選定を行うことができるというできる規定ではなく、これら事業を行うための施設については区の補完的役割を担う外郭団体が指定管理を行うものとするなど外郭団体に施設運営を委託することを明確化すべきではないでしょうか。それ以外の施設については、現在、外郭団体が指定管理者として非公募で委託されている施設についても民間事業者の参入を可能とする公募制を採用すべきと考えます。
 指定管理者制度における外郭団体への委託について今後どのように取り組んでいくのか、区長のご所見を伺います。

 以上、区有施設について改善していただきたい2点について質問させていただきましたが、ぜひとも早急に取り組んでいただけることを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

区長 答弁

 「早川議員のご質問にお答えさせていただきます。

 ご質問の第1は、区有施設の維持、保全、適正化についてでございます。
 まず、施設情報の一元管理についてでございます。区有施設の維持、保全、適正化に関する基本方針の策定に当たりましては、議員ご指摘のとおり施設情報の一元管理を図る必要があるものと考えております。そこで現在、行政経営推進プランに基づき施設の利用状況や管理運営経費等の基本的な情報の集積、検証作業を進めており、今年度中に現況を取りまとめる予定でございます。さらに、今後は定期的にデータの更新を行ってまいります。

 次に、策定に当たっての課題認識についてでございますが、ファシリティマネジメントの考え方を踏まえ、計画的な施設保全の推進や施設の保有総量の最適化に取り組む必要があるものと考えております。

 次に、基本方針の策定に関する進捗状況についてでございます。現在、基本方針策定の前提となる施設の更新費用の将来推計や人口、区民ニーズなどの分析を進めているところでございます。さらに財政負担の平準化や施設の長寿命化を図るため、一定の周期で施設の更新を行うとともに、人口構成や区民ニーズの変化に合わせた施設の再編を進めていくことを基本的な考え方として基本方針の策定を進めてまいります。

 ご質問の第2は、指定管理者制度についてでございます。
 まず、制度の運用における課題認識と指針の改定時期についてでございます。指定管理者制度運用指針につきましては選定手続の適正化など、これまでも必要に応じて改定を行ってきたところでございます。現在、より継続して安定的な管理運営を行うための指定管理のあり方や指定管理者のインセンティブをより高めるための仕組みなどが課題であると認識し、検討を進めているところでございます。
 議員ご指摘のとおり、来年度は29の施設で選定手続が予定されております。選定開始前までには内容を精査し、必要な改定を実施する予定でございます。なお、区の公の施設には多様な形態がございます。指定管理者制度の適用の是非につきましては、区民サービスの向上や管理運営の効率化などが見込まれるかという視点を踏まえ、個々に判断していく必要があると考えております。

 次に、外郭団体についてでございます。10月の決算特別委員会でお答えさせていただきましたとおり、外郭団体につきましては行政課題の変化に対応してそのあり方を検証、検討することが必要であると考えております。外郭団体における指定管理者制度の適用の是非につきましては、外郭団体のあり方とあわせて検討してまいります。」

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