予算総括質疑全文 (平成26年予算特別委員会)

2014/03/29

早川太郎 質問

「たいとうフロンティア政調会長、早川太郎でございます。長時間の審議となっておりますが、私が予算特別委員会総括質問のトリでございますので、大きく4点伺わせていただきますが、区長、教育長におかれましては最後まで気を抜かず明快なご答弁をいただけることをお願いして、質問に入らせていただきます。

まず初めに、歳入の確保について伺います。

委員会審議の中で、歳入確保に向けての取り組みについて伺うと、収入率アップに向けての収入未済対策委員会と広告収入などのアップを図るための広告事業等推進会議などを立ち上げ、歳入確保に向けての全庁的な取り組みを行っているとの答弁をいただきました。これらの取り組みにより26年度一般会計予算案では新たな歳入の充実を図るものとして3事業、約1,600万円が計上されています。また、区民税の増収については口座振替勧奨など地道な収入未済対策の効果も出てきており、さらに行政経営推進プランの中にある国と補助金の有効活用についても耐震への国庫補助金について有効活用を行ったとの答弁もありました。

しかしながら、歳入確保に向けては、これら取り組みに加えて主要一般財源であり、区の収入の約16%を占める区民税の増収に向けての取り組みが必要だと考えます。区においても収入率のアップのほか、住環境整備による新たな世代の呼び込み、既存区民の税収アップのための観光、中小企業支援などなど、これまでも区民税増収につながる取り組みを進めてきていることとは認識しております。

しかし、区民税の増収対策には施策を実施してから効果が出てくるまでにはタイムラグが発生します。これら施策を満遍なくやっていくというよりも、例えばこの3年間はこの施策に力を入れようといった集中と選択も必要なのではないでしょうか。

答弁の中でも、現状の試算では消費税増税における地方交付税の増収分より住民税国税化への影響による特別交付金の減額や区が支払う消費税分のほうが大きくなるとの答弁もありました。より国税化への強化が強まれば、ますます区の財政に与える影響は大きくなります。君塚委員の質問でも財政状況は依然として厳しいので、今後とも規律ある財政運営を行ってほしいと求めておりますが、私も同感であります。

しかし、厳しい財政状況にあっても、今まさに必要なものには十分な予算措置をとっていかなくてはならないとも思っています。そのためにも歳入の確保に向けた検討をしっかりと行っていかなくてはならないのではないでしょうか。歳入確保に向けての取り組みを今後どのように進めていくのか、区長のご所見を伺います。」

区長 答弁

「早川委員のご質問にお答えいたします。

区では基本構想に基づく長期総合計画、行政計画をより効率的、効果的に実施していくため、平成17年3月に行政経営の推進に向けた基本的な考え方と具体的な取り組みを示す行政経営推進プランを策定いたしました。その後、3度にわたるプランの改定等を行いながら社会情勢の変化による新たな行政需要や行財政制度の変更に適切に対応したさまざまな取り組みを実施してまいりました。26年度は長期総合計画の策定に合わせて本プランも改定いたします。改定に当たりましては新たな長期総合計画を円滑に実施していくため、歳入確保の観点も含め、取り組み項目を十分に検討し、行政経営の一層の推進を図ってまいります。また、特別区民税については、「にぎわい いきいき したまち台東」の実現に向けて住環境の整備や中小企業支援など、さまざまな施策を総合的に推進していくことでその増収を図ってまいります。」

早川太郎 質問

「歳入確保の観点も含めて取り組み項目を十分検討していただけるということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。本当に歳入確保、これから大事だと思いますので、ぜひ区長には頑張っていただきたいと思います。

次に、省エネ対策について伺います。

先ほど申し上げた、今まさに必要なものには十分な予算措置をとっていかなくてはならないと申し上げましたが、その必要なものの中には省エネ対策の推進が含まれていると私は考えています。先ほど小髙委員も原発について触れましたが、私は原発依存からの脱却を早期に実現するための体制を一刻も早く実現していかなくてならないと考えています。原発依存を脱却していくためには供給量をふやすための再生可能エネルギーの推進、ピーク時の需要量に対応するための蓄電技術の開発、そして需要量自体を抑えるための省エネ機器の推進が必要です。これら取り組みを国家として着実に推進していただきたいと切に願っております。この中で台東区としてできることは何か、それはできる限り電力使用量を減らしていく、再生可能エネルギーの活用をふやしていく取り組みを積極的に推進していくことだと思っています。省エネ対策については、髙森委員からの基本質問での答弁で、26年度において全庁的な省エネ対策を積極的に推進していくとの答弁もありましたので、委員会審議の中で確認させていただきました。

助成事業については、26年度から集合住宅へのLED助成や断熱効果の高いものへの助成など助成内容を充実、また我が社の省エネチャレンジなどもエコアドバイザーへの制度に25年度より変更するなど、省エネ推進に向けて努力していることは評価しています。しかし、予算措置としては25年度に比べ微増、もっと積極的な予算を計上していただけると思っておりましたし、所管が普及に向けて努力していただけると思っていたので、正直、物足りなさを感じます。

区有施設については、予算編成に向けて機器の新規購入、買いかえに当たってはエネルギー効率の高い製品を選択するよう、環境課長からの通達を行ったとの答弁がありました。本庁舎改修に関しては省エネ対策の目標値を決め、しっかり行っていることは評価しています。しかし、震災の影響による電力料金の値上がり前である23年度と比較すると、本庁舎などの対応を行っていても予算額で1億4,000万円も増額しています。区有施設で電力使用量の一番大きい街路灯では昨年の決算が、1年当たりの電気料がこれまでの街路灯1台、1万8,000円弱、省電力型の街路灯では9,000円強であるとの答弁もありました。

省電力型の電気料が半分になるにもかかわらず、省電力灯への取り組みは長期総合計画目標事業量、年660基に対して昨年同様320基分しか予算計上されていません。区有施設への省エネ機器推進のためにエコアドバイザーなどの活用による費用対効果についての試算を伺うことを提案した昨年の決算特別委員会総括質問では、費用対効果の試算については26年度に予定している実行計画の改定の中で調査・積算し、その結果を踏まえ、対応していくとの答弁もいただいております。早期に試算を行い、省エネ推進を区民に奨励している台東区としてしっかりとした対応をお願いしたいと思います。省エネ推進を長期総合計画において最重要課題と位置づけ、省エネ施策推進に向けた取り組みをさらに充実させていくべきと考えますが、区長のご所見を伺います。」

区長 答弁

「ご質問にお答えいたします。

私は、省エネルギー対策は持続可能な地域社会の実現を図る施策であり、光熱水費の抑制においても重要なものと認識いたしております。区では省エネ対策を推進するため、施設の新設や改修時において長期的な費用対効果を見据えて省エネ設備、機器の導入を進めております。さらに平成26年度においては、省エネ設備の先行導入による費用対効果の試算を実施いたします。また、区民、事業者向けの助成制度につきましても、より効果の高いものに対象を広げるなど、さまざまな工夫を凝らしているところでございます。今後もこれらの取り組みを推進するため、長期総合計画の立案に際しましては省エネ対策を最重要課題の一つとして位置づけてまいります。」

早川太郎 質問

「区長から最重要課題の一つとして位置づけてやっていただけるということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

3点目は、学校教育について伺います。

委員会冒頭の基本質問において台東区の教育の強みを伺わせていただき、歴史や文化施設などに恵まれているということが、他の自治体には得がたい強みであるとの答弁をいただきました。歴史や文化施設などに恵まれているからこそかもしれませんが、台東区は上野・浅草などを擁する日本でも有数の国際観光都市として多くの外国の方が訪れてくれているという特色があります。オリンピック・パラリンピックを控え、一層の外国人観光客の方々がふえてきていただけると思いますし、また、ふえていただけるよう努力していかなくてはなりません。国際観光都市として英語教育を本区の柱の一つとし、学校教育の強みとすべく一層充実していくべきと考えます。

その一つの手段として、我が会派の河野議員から一般質問でも英語検定の無料化を提案させていただきました。学校教育ビジョンにも国際理解教育の推進としてインターネットを活用した海外との交流や外国人観光客との交流を進めるとあります。現在、一部の学校で行っている外国人観光客とのインタビュー活動はもっと推進すべきと思いますし、姉妹都市であるマンリー市の学校とスカイプなどを利用し、交流することなども委員会で提案させていただきました。英語を話せるようになるには、コミュニケーションをとりたい、役に立ちたいというような目的がなければ身につかないと思うとの答弁もいただきました。であるならば、これらの事業は早期に実現できるよう検討すべきではないでしょうか。

さらに学校教育ビジョンには新たな価値を創造して指導できる人材の養成として高校や大学等と連携し、芸術などで専門的な議論を重ねる機会を設け、世界を飛躍する人材の育成を図るとあります。区内にある東京藝術大学や上野学園との連携はまさにうってつけです。もっと推進すべきものと考えます。これらは台東区の学校教育の強みになり得るのではないでしょうか。早期実現に向けてしっかりと検討すべきと考えますが、教育長のご所見を伺います。

また、教育長のご答弁の中には、歴史や文化施設などに恵まれているという強みを生かして学びのキャンパスプランニングを行っているとの答弁もいただきました。25年度から開始したこの事業では、区内の文化芸術施設等と連携し、教育プランを企画、各学校にあったプランを複数選択して実施しています。26年度からは区内の企業や助産師会等との連携をふやしていくとの答弁もいただきました。都立美術館の休館日に鑑賞授業を行い、学芸員と子どもたちが直接対話して作品の見方や考え方を広げるなど、とてもすばらしい事業だと思います。

また、ICT教育においても子どもの学習態度にかかわる課題や教育コンテンツが充実していくことなどの進捗状況を見据え、しっかりと推進するよう段階的に行っているなど、答弁を聞いて子どもたちが着実にICT教育の成果を享受できるよう考慮された取り組みを行っていることが理解できました。これらの取り組みについては、十二分に起こり得るものであると思います。であるならば、その強みを台東区の学校教育のブランド力向上に役立てるべきではないでしょうか。子育て世帯を呼び込むためには教育も重要な要素となり得ます。バランスのよい人口構成を目指していくためにも、子育て世代が台東区に住みたい、今後も住み続けたいと思えるよう学校教育で行っている事業についても、しっかりとした広報戦略に基づき、情報発信をしていくべきと考えますが、教育長のご所見を伺います。」

教育長 答弁

「ご質問にお答えをさせていただきます。

台東区は全国に誇れる伝統、歴史、芸術に恵まれ、子どもたちにとってまさに地域そのものが学びを育む場となっております。学びのキャンパスプランニング事業も、台東区にしかできない活動を多彩に展開してまいりました。委員ご指摘のとおり、国際観光都市である本区といたしましては、6年後に開かれる東京オリンピック・パラリンピックを見据え、外国人との交流がますます求められてくるなど、子どもたちに対して異文化への理解と日本人としての誇りを持つ、国際理解教育を推進していくことが重要であると認識しております。また、区内にある大学や博物館など、地域の資源を活用したさまざまな教育活動はふだん学ぶことのできない発見や感動を得ることができ、興味、関心をさらに広げたり、高い質を求めるようになったりする子どもたちの姿も見られるようになりました。こうした地の利を生かした教育が存分に展開できるところにこそ、他に類を見ない本区の強みであると考えております。

次に、ブランド力向上についてでございます。

こうした本区の特色ある教育活動のよさを知っていただくことが、本区の魅力の向上に役立つ重要な要素になるものと認識しております。教育委員会といたしましては、これまで教育施策PR誌「台東まなびタイムズ大輪」などを通して教育施策に関する情報を随時発信してまいりました。今後も区長部局と連携し、公式ホームページやCATVなどはもとよりメディアのさらなる活用を図り、本区の特色ある教育活動について積極的に情報発信してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。」

早川太郎 質問

「教育長、ご答弁ありがとうございました。本当に広報戦略、これから大事になってくると思いますし、区長部局と連携としてということでございますので、区長部局のほうとしてもその辺しっかり対応をとっていただければと思います。

最後に、行政計画について伺います。

今回、予算案が示されている26年度は長期総合計画並びに行政計画の最終年度に当たり、両計画の目標事業量達成に向けて重点的、優先的に財源措置を行っているといろいろな機会に述べられています。特に実施計画である行政計画については、これまで以上に創意工夫を凝らして取り組んでいく必要があり、各部長のリーダーシップのもと、事業の重点化を図るよう指示したとの答弁を基本質問時にいただきましたので、その区長の思いが十分予算に生かされているのか、委員会審議を通して検証させていただきました。

行政計画は目標事業量達成率が限りなく100%に近づくよう予算編成を行うべきものと基本質問において述べさせていただきましたが、助成事業などでは幾ら行政が達成に向けての大胆な施策展開を行っても、結果として100%の達成が難しいことは理解しています。予算上の見込み達成率は約9割ということでしたので、達成見込みが立てなかった1割の事業についてはいろいろと伺わせていただきました。

例えば、建築物の耐震化推進に向けての取り組みでは助成件数が伸び悩んだことを受け、これまで行ってきた簡易耐震の無料化をやめ、本診断無料化を開始し、対象家屋に対して個別PRを行っていくなど、推進に向け、制度の変更を26年度から開始します。また、助成件数が伸び悩んでいた都市防災不燃化促進事業も年4回の説明会を実施するなど、目標事業量達成には及ばないもののしっかりと達成に向けての対策は講じられておりました。さわやかトイレではオリンピック・パラリンピックの決定を受け、改修計画を見直すことにより事業自体を延期、病後児保育も子ども・子育て支援新制度に組み込まれている事業であることから、制度確定まで延期したとの答弁がありました。これら事業の延期については、計画策定後に新たに起こった要因によっての延期であり、十分理解し得るものだと考えています。

しかし、委員会審議に取り上げなかった未達成事業を含めれば、達成に向けての課題は理解していても、最終年度である26年度で改善策実現に向けての対策を講じていないものがなかったわけではありません。本来、実施計画である3年スパンの行政計画では1年やってみて2年目で改善策を検討、3年目の最終年度で改善策を実施というのが本来ではないでしょうか。今回の行政計画は10年計画である長期総合計画に最終年度を合わせたがために実質2年計画となってしまっているので、なかなか難しいところはあったかもしれません。

また、がん対策のように国の目標数値を意識してのことだと思いますが、3年スパンの計画としては実現の可能性が限りなく低い目標事業量を掲げている事業もあります。目標事業量を適正に設定するよう検討が必要です。長期総合計画については、計画策定に向けた考え方が報告されており、計画事業名、計画事業量の表記は行わないものとするとの変更が予定されています。長期総合計画の考え方が現状のものから変更されるのであれば当然、行政計画の役割も変わってくることになります。行政計画の意義を所管が再認識するためにも改めて行政計画の役割について示すべきと考えます。目標事業量の適正な設定を含めた次期行政計画策定に向けての考え方について、区長のご所見を伺います。」

区長 答弁

「ご質問にお答えいたします。

行政計画は長期総合計画の理念や目標の具体化を図り、基本構想に掲げる将来像の実現を目指すための実施計画であります。計画の策定に当たりましては、区民生活や区政を取り巻く状況を的確に把握し、時代の変化に対応した施策展開を図る必要があると認識いたしております。新たな長期総合計画においては各施策における取り組みの方向性までを定め、計画事業量につきましては、行政計画において設定することとしております。したがいまして、適切な事業量を設定していくことはこれまで以上に重要になると考えております。計画事業を着実に実施していくため、事務事業評価などを活用するとともにその進捗管理方法についても工夫をしてまいります。」

早川太郎

「本当に長期総合計画が目標事業量なくなりますので、その分しっかりとした行政計画のほうでお願いいたしたいと思っておりますし、実施計画でございますので、なるべくその実現に向けて頑張っていただきたいと思っております。

我が会派に対する答弁や反対を表明した会派への答弁も含めてしっかりと伺わせていただきました。26年度予算案については、適正であるという結論に私は達しております。たいとうフロンティアとしては、予算案に賛成したいと思います。我が会派を含め、賛成を表明した会派からの予算に対する賛成という結論への重みを各所管の方々は十分胸に刻んでいただき、よりよい台東区実現のため、しっかりと事業の執行を行っていただきたいと強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

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