予算基本質問全文 (平成26年予算特別委員会)

2014/03/25

早川太郎 質問

「たいとうフロンティア、政調会長の早川太郎でございます。

予算特別委員会の審議を行うに当たり、会派を代表して大きく4点伺わせていただきます。

まず初めに、予算編成について伺います。

区は、平成24年に、厳しい財政運営が続くことを想定し、25年度から3年間で78億円の財源確保を目標とした、将来を見据えた行財政基盤の強化に向けた取り組みを行っていくことを決定しました。

25年度の予算編成では、一般財源割当方式を採用し、歳出抑制の取り組みとして事業実施の緊急性、区民生活への影響、行政関与の必要性、予算の執行率などの観点から、全ての事務事業を対象に検証を行い、見直しを実施。25年度当初予算は、対前年比マイナス4.3%とし、あわせて歳入確保の充実も図る取り組みを実施しました。

さらに、景気の緩やかな回復や消費税増税前の駆け込み需要などを反映した税収アップの追い風もあり、26年度当初予算案で目標数値を超える96億円の財源確保を見込むことが可能となりました。

しかし、代表質問での区長答弁にもあるとおり、区財政の先行きはいまだ楽観できる状況ではありません。なぜならば、歳入においては、消費税率の引き上げによる景気の先行きや、法人住民税の国税化による特別区交付金への影響など、また、歳出では、区有施設の老朽化対策、子ども・子育て支援新制度への対応や、高齢者対策など、多大な増額懸念もあるためです。

26年度の予算編成の基本的な考え方の中にも、行財政基盤の強化に向けた取り組みを実施すると述べられています。26年度予算はどのような方式を活用し編成を行ったのか、まずはお答えください。」

区長 答弁

「早川委員のご質問にお答えさせていただきます。

平成26年度予算編成に向けては、景気回復による特別区税と特別区交付金の増収が期待される一方で、社会保障関係経費を初めとする財政需要の増加や、消費税率の引き上げなどの税制改正への対応が大きな課題でありました。

25年度に実施いたしました一般財源割当方式は、各部に一層の創意工夫を発揮させることや、本区の財政状況について職員の意識の共有化を図るなどの点において有効であったと考えております。

26年度予算の編成に当たりましては、前年度の成果やその後の社会経済情勢の変化等を踏まえ、既定事業については、人件費や扶助費などを除いて、前年度の予算額の範囲内での要求とするシーリング方式を採用いたしました。

一方、保育環境や健康づくり施策の充実、災害対策の強化などについては、重点的な財源配分を行ったところでございます。」

早川太郎 質問

「目標数値の78億円は、あくまで27年度の予算編成を行う上で本当にぎりぎりの目標だったと思いますので、28年度以降財政をしっかりやっていくためには、さらに今後さまざまな財政需要とかもありますし、まだまだ厳しい財政運営を続けていかなくてはならないのではないかと。取り組み実施の2年目で、一般財源割り当て方式ではなくて、ゼロシーリングだと思いますが、予算の範囲内で行ったことに関しては、私も適正であったと思っております。しかし、厳しい財政需要にあっても、やはり行政の守備範囲を明確化した上で、今まさに必要なものとか、そういったものには十分な予算措置が行わなければならないと思っています。

今、区長も、保育や災害等、必要な事業には重点的に予算配分を行ったとおっしゃっておられましたので、その辺も含めて予算審議の中で確認させていただきたいと思っております。

次に、長期総合計画について伺います。

来年度は、吉住区長が就任時に策定した長期総合計画の最終年度となります。長期総合計画については、各分野における目標の達成に向け重点的な予算配分をしたと今定例会の所信表明演説の中でも述べられておられました。長期総合計画の目標については、施策として達成し、最終的に区民の幸せの向上につながったかどうかが重要であって、必ずしも計画事業の目標事業量を達成すればいいというものではないことは存じています。しかし、計画事業の目標事業量を達成することは、施策目標の達成に近づくことになるとは思っております。

さきの企画総務委員会において、長期総合計画の計画事業の達成率が82%、施策の指標達成率が一部達成までを含めれば85%という結果が報告されました。2度の改定が行われたとはいえ、10年間の総決算とも言える評価である達成率が8割を超えたということに対して、区長はどのように受けとめているのか、お聞かせください。」

区長 答弁

「お答えさせていただきます。

計画事業量を達成することで、施策目標に近づくという委員のご意見には、私も同感でございます。私は、平成17年に長期総合計画を策定し、この計画に基づいて、子育て支援や教育、健康・福祉等の区民生活に密着した施策を初め、環境や産業、都市基盤整備などの幅広い分野の施策を総合的に推進してまいりました。

同時に、行政経営推進プランに基づき、健全な財政運営に努めるとともに、それぞれの施策や事業を効果的・効率的に実施してまいりました。計画事業量や施策指標の達成率が8割を超える見込みとなったことにつきましては、これまでの取り組みが一定の成果を上げたものと認識いたしており、基本構想に掲げる将来像の実現に向けて、着実に前進していると考えております。また、未達成の課題につきましては、さらに努力してまいります。」

早川太郎 質問

「本当にリーマンショック以降の厳しい経済状況の中、健全財政に努めてきた上での10年という割と長目のスパンの長期計画の達成率が8割を超えているということは、私も評価すべきだとは思っています。でも、実施計画であり行政計画はどうかということなので、次に長期総合計画と同様、来年度最終年度を迎える行政計画について伺わせていただきます。

3年スパンの実施計画である行政計画は、長期総合計画以上に目標事業量の達成が重要視されるものと思います。しかも、今回の行政計画は、行財政基盤の強化に向けた取り組みの実施により、最終年度が同じであるはずの長期総合計画の目標事業量から計画目標事業量を1年前に削減したものでもあります。25年度の予算も、その削減された行政計画事業量に基づいて予算編成が行われたものでした。

台東区予算案の概要には、26年度予算は行政計画の最終年度に当たることから、計画事業の優先的な財源措置を行いましたとの記述もあり、行政計画経費は193事業で125億4,000万円、前年に比べて約11億円の増額となっています。

しかし、(仮称)谷中防災・コミュニティ施設の改修費など多額な上乗せを行った事業もあり、消費税の増額分や単純な実績増を考えれば、その他多くの行政計画事業に対する予算総額は、最終年度に向けた財源措置としての規模が適正だったのかとの懸念もあります。

実施計画である行政計画は、目標事業量が適正なものであったならば、目標事業量達成率が限りなく100%に近づくよう予算編成を行うべきものだと思っています。25年度までに計画目標事業と実際の事業量に開きがあった事業を26年度で達成まで持っていこうとするには、例えば制度の変更や多額な予算の上乗せ、思い切ったインセンティブを与えることなど、大胆な施策展開が必要であったと考えます。目標達成に向けて、どのような思いを所管に伝え、本予算を編成するに至ったのか、区長の思いをお聞かせください。」

区長 答弁

「お答えさせていただきます。

平成26年度は行政計画の最終年度にも当たることから、予算編成に当たり、私は目標達成に必要な事業に、これまで以上に創意工夫を凝らして取り組んでいく必要があること、また、「にぎわい いきいき したまち台東」の実現を確固とするため、各部長の強力なリーダーシップのもと事業の重点化を図るよう指示いたしました。

予算編成に当たりましては、計画目標の達成に向けた各部からの提案をもとに、計画の事業量を踏まえるとともに、事務事業評価や比較評価の結果、今年度の事業の執行状況なども勘案いたしております。

一方、状況の変化への対応が必要な事業には、計画事業量を超えた予算措置を行うなど、柔軟な予算編成を行ったところでございます。」

早川太郎 質問

「今のご答弁でもありましたが、これまで以上に創意工夫を凝らして取り組んでいくとか、各部長のリーダーシップのもと事業の重点化を図るよう指示したとのご答弁がございましたので、今後の審議の中で、達成に向けてどう予算編成されたのか確認させていただきたいと思います。

次に、子育て施策について伺います。

昨年の決算特別委員会総括質疑において、我が会派の木下委員より、台東区に住んでいただき特別区民税を納めていただけるまちづくりについての質問に対する答弁として、区長より将来にわたって本区が活力を持続し、一層発展していくためには、定住人口の増加に加え、年齢層や世帯構成などバランスのよい人口構成を目指していくことが基本であるとの答弁をいただきました。

今定例会の産業建設委員会の中で、住宅マスタープランの基礎調査結果が報告されていますが、我が台東区は、高齢者人口比率は都心8区で最も高く、年少者人口比率は9.2%と、都心区平均9.8%を下回っています。バランスのよい人口構成を目指していくためにも、子育て世帯が台東区に住みたい、今後も住み続けたいと思えるように、さらなる努力を行っていかなくてはなりません。

台東区で子育てしたいと思ってもらえるよう、住環境の整備や子育て施策の充実などさまざまな施策展開があると思いますが、子育てするなら台東区を掲げる吉住区長は、区長3期目の最終年度である26年度において、子育て施策充実に向けどのような思いで予算編成を行ったのか、お聞かせください。

さらに、子育て世帯を呼び込むためには、教育も重要な要素となり得ます。就学前、教育・保育に力を入れることも重要ですが、小学校入学時に定住する地域を決める人も多いと思われます。そのためには、学校教育のブランド力向上への取り組みが必要なのではないでしょうか。台東区としての教育の強みをしっかりと認識し、その強みを誰にでもわかりやすい形で事業化していくことが必要です。

例えば、荒川区では、ICT教育を推進すべく、タブレットの全員配布を決定したとも聞いています。この事業をほかに先駆けて打ち出すことで、ICT教育は荒川区というイメージが備わったのではないでしょうか。会派で視察にうかがった大阪府箕面市では、教育委員会の委員を公募で募集し、より身近な教育を行うということを明確化しています。台東区でも、吉住区長が就任後行った小・中学生の医療費無料化は、子育てするなら台東区を誰にでもわかりやすい形で事業化したことで、台東区のブランド力向上につながったと思っています。

就任されて1年が経過しましたが、和田教育長としては、台東区の学校教育の強みをどう認識し、26年度予算ではその強みを強化するための事業をどう進めていこうとしているのか、お聞かせください。」

区長 答弁

「ご質問にお答えさせていただきます。

私は、区長就任以来、「子育てするなら台東区」を掲げ、子どもたちの笑顔にあふれ、にぎわいと活力のまち・たいとうを実現するという強い思いを持って、これまでもさまざまな子育て支援施策に取り組んでまいりました。

平成26年度は、特に高まる保育需要に迅速に対応するため、たいとうこども園や認証保育所の開設、定員100人程度の認可保育所や小規模保育所の誘致など、待機児童の解消に向け積極的に取り組んでまいります。

また、予防接種のスケジュール情報を提供するサービスや、就学前の児童を対象としたスポーツ教室の実施など、子どもの健やかな心と体を育む取り組みを実施してまいります。

現在、さらなる取り組みを進めていくため、子ども・子育て支援新制度を含む、区の新たな次世代育成支援計画を策定しているところでございます。今後も、全ての子どもと子育て家庭をまち全体で支えていくため、子育て支援を着実に進めてまいります。

その他の質問については、教育長がお答えいたします。」

教育長 答弁

「学校教育についてのご質問にお答えをさせていただきます。

教育委員会は、時代を超えても変わらない価値のあるものとして積み重ねてきた教育の成果を活かし、粛々と取り組みを続けてまいりました。その一方で、時代の変化とともにあらわれる新たな課題には迅速に対応して、最善を尽くしているところでございます。

台東区学校教育ビジョンの基本理念では、区全体を学びのキャンパスとし、地域と連携した教育活動を行うことを掲げております。本区には、歴史や伝統文化施設等に恵まれているという他の自治体には得がたい強みがございます。

本年度開始した学びのキャンパスプランニング事業では、区内にある国立博物館や西洋美術館等において子どもたちが本物の美術品や展示品に触れることや、伝統芸能の落語や邦楽を体験する授業等を行ってまいりました。26年度は連携先をさらに拡大し、豊かな体験を可能とするプランをふやし、本区の強みを生かした教育活動を推進してまいります。

また、子どもたちを取り巻く情報化社会の急速な進展に対応するために、新たにデジタル教科書と授業用パソコンを導入し、インターネットを含めたICT教育環境の充実を図ります。このことにより、これまで以上に児童・生徒が学習への興味関心を高め、活発な意見交換をしたり、学んだことを発表したりすることによって、質の高い学びを実現してまいります。

今日の教育保育の課題は、ますます複雑化、多様化しております。今後も区長部局との意思疎通と連携を十分に図り、本区教育行政の推進に努めてまいります。」

早川太郎

「区長、教育長の思いを伺わせていただきましたので、これからの委員会でしっかりと確認させていただいて、総括質問につなげさせていただきたいと思います。

予算案に込めた区長の思いや課題点、今後の財政運営における区長の基本スタンスなど、さきに行われた代表質問にてご答弁いただいておりますので、もう少しだけ具体的なお話を伺わせていただきました。基本質問としてはどうかという質問もあったかもしれませんが、新人議員でもあり、初めての基本質問でもございますので、その点はご容赦いただき、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。」

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