2011/09/25
早川太郎質問
「無所属の会・台東、新人の早川太郎でございます。
質問を始めるに当たり、まず、このたびの東日本大震災、そしてその後も相次いだ台風など、自然災害によって亡くなられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
3月11日に発生した東日本大震災は、死者・行方不明者合わせて2万人という想像を絶する甚大な被害をもたらしました。台東区政においても、今回の震災の痛ましい経験を無駄にしないことが重要であり、現在行われている自然災害への備えはどうなっているのか、実際に震災が起きたときに本当に役に立つものなのか、もう一度しっかりと確認し、早急に対策を進めていくべきと考え、震災対策について幾つか質問・提案をさせていただきます。
まずは、建築物の耐震化推進について伺います。
東京都が平成20年2月に公表した第6回地域危険度測定調査によると、建物倒壊危険度ランキング、都内5,099町丁目のうち、台東区はワースト100位以内に18町丁目も入っています。台東区は、建物の倒壊危険度が都内の中でも非常に高く、大変危険な地域です。阪神・淡路大震災では、6,400人に上る死傷者の8割以上が、建物倒壊による圧迫死でした。震災時の建物の倒壊は圧迫死につながるだけでなく、火災を引き起こし、被害をさらに拡大させることになります。震災被害を減らすためには、一刻も早くそれぞれの家屋で耐震化を進める必要があります。
私は、6月の環境・安全安心特別委員会の中で、震災対策に関心の高い今こそ、耐震診断の無料化を実施し、早急に耐震化を推進すべきと強く要望いたしました。まずは、耐震診断で各家屋の現状を知ることが急務であると考えたからであります。区は、台東区耐震改修促進計画の中で、27年度までに住宅についての耐震化率90%を目標としております。なぜ100%を目標としないか、甚だ疑問ではありますが、その目標としている90%ですら、現状のままでは到底達成できるとは思えません。
区は、本定例会で、昭和56年以前に建築した木造住宅について、無料で耐震コンサルタントを派遣し、簡易診断を実施するための予算を提案しております。この制度は、耐震化に向けた大きな前進であり、大いに評価するものであります。しかし、制度をつくっても利用者が少なくては意味がありません。区は、いかなる方法・体制でこの制度を進めていくのでしょうか。
今回の補正予算にもありますが、東京都は特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進するために、耐震診断の義務化に踏み切りました。22年度には、当該区の担当者とともに、都内沿道約450キロ、およそ3,000棟のローラー作戦を実施し、啓発に努めています。台東区としても、危険度の高い地域から1軒1軒回って啓発していく、そういった取り組み、耐震化への啓発を強力に推進できる体制へと強化すべきと考えますが、ご所見を伺います。
次に、防災訓練について伺います。
震災時において、常日ごろの防災訓練が重要なことは言うまでもありません。区は、9月4日、台東区総合防災訓練を実施いたしました。防災関係機関の啓発展示コーナーや体験コーナーなど、多くの区民の方が訓練に参加されておりました。しかし、こういった、サイレンが鳴ると一斉に避難場所へ、会場に到着してから、消火活動や応急救護訓練などが行われる会場型防災訓練だけで十分なのでしょうか。
実際の災害時には、出くわしたその場の状況、各自の判断で行動しなければなりません。そのときのとっさの判断が生死を分けることも多くなります。実際の災害に対して実質的な対応ができるよう、即戦力をつける訓練の充実が必要です。模擬災害発生を想定し、実際に生活している地域で、1人1人がその場の状況を判断して、近所の人と協力し消火活動や救助活動を行う、発災対応型防災訓練の実施に移行していくべきと考えます。
地域住民を中心に、区の所管職員、消防、その他関係機関を交えた発災対応型訓練を実施する中で、例えば、消火活動に必要な消火栓や防火水槽の位置、避難経路の安全確認、災害時要援護者や帰宅困難者への対応、水や食料の配給までを含めた避難所運営時の諸課題など、検討課題を把握し、解決しながら、それぞれの地域の特性に合った、実践的で詳細な防災マニュアル、避難マニュアルを作成すべきと考えます。
まずは、モデル地区をつくり、基本マニュアルを作成した上で、区内全地域に広げながら、より完成度の高いマニュアルを作成していく、そういった取り組みを一刻も早く進めていかなくてはなりません。今後の防災訓練の取り組みについてのご所見を伺います。
さらに、この施策の実効性を高めていくためには、行政においての体制の強化は必須であり、所管部門に防災の専門的知識を有し、防災訓練やマニュアルなどの作成など、各地域に積極的に働きかけていく防災アドバイザーを配置すべきと考えますが、ご所見を伺います。
次に、水道の耐震化について伺います。
平成18年5月に東京都が公表した、首都直下地震による東京の被害想定によれば、マグニチュード7.2の東京湾北部直下型地震が発生した場合、台東区の断水率は65.2%と試算されています。水道は、避難所生活の生活用水としてだけではなく、震災時の初期消火の防火用水としても重要です。震災時、水道水が利用できれば、消火栓などの使用も可能になり、火災被害の拡大を防ぐ確率も高まります。
総合危険度の高い地域から上水道の耐震化を進め、少しでも断水率の改善を図るよう、東京都に強く要望すべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
来街者の対策について伺います。
日本でも有数の観光地を抱える台東区では、年間約--万人、1日平均10万人を超える観光客が訪れています。前定例会の所信表明において、区長は、来街者の震災対応も推進していくと述べられていますが、例えば、来春開業予定の浅草文化観光センターでの来街者への震災対応は、3.11の経験のもとにしっかりした検討を行い、対策を充実させているのでしょうか。諸外国の方も多く訪れ、スカイツリーが完成する浅草地域では、一時待機施設の検討やその施設への誘導方法など、来街者への震災対策をさらに充実していくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
政策の効果を向上させるには、いつ行うかのタイミングが重要であり、震災対策については、区民の関心の高い今こそ、早急に推進していくときであります。子育てするなら台東区だけでなく、地震に強い台東区実現のため、実効性の高い震災対策を推進していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴どうもありがとうございました。」
区長 答弁
「早川議員のご質問にお答えさせていただきます。
まず、建築物の耐震化についてでございます。
私は、建築物の耐震化を促進するためには、建築物の所有者が、地域防災対策をみずからの問題としてとらえるとともに、地域の問題としてもとらえ、主体的に取り組むことが必要であると考えております。そのためには、議員ご指摘のとおり、区民の皆様への啓発活動が大変重要であると認識し、これまで、耐震に関するパンフレットを作成し、全戸配布を行うなど、広く啓発に取り組んでまいりました。また、今回、新たに耐震診断コンサルタント事業を実施し、簡易耐震診断や耐震へのアドバイスを行うことにより、建物所有者の意識の向上が図られ、耐震化の実施が促進されることを期待しております。
今後は、地区町会連合会やまちづくり協議会などへの個別の出前講座、耐震化を重点的に進める地域への職員による戸別訪問の実施など、啓発の強化に取り組んでまいります。私は、耐震化の促進につながるさまざまな支援策を実施し、早期に安全で安心なまちづくりの実現を図ってまいります。
次に、防災訓練についてでございます。
私も、地域における防災訓練は、地域特性を踏まえ、発災対応型とするなど、より実践的に実施することが重要であると考えております。このような訓練を踏まえた、より具体的な防災マニュアルや避難所マニュアルを各地域単位でつくっていくことが、災害発生時には多いに役立つことと認識いたしております。議員のご提案につきましては、モデル地区での実施を検討するなど、地域における防災対策への支援を充実してまいりたいと考えております。
次に、防災アドバイザーの配置についてでございます。
東日本大震災を契機に、防災に対する区民の皆様の意識が高まっております。この機会をとらえ、町会等が実施する防災訓練の現地指導や防災にかかわる取り組みに対する専門的なアドバイスなどを行い、より積極的に支援していくことは、区民の皆様による共助の取り組みを一層促進するものであると考えております。防災アドバイザーの配置につきましては、区民の皆様の防災力向上策の一つとして検討してまいります。
次に、上水道の耐震化についてでございます。
ライフラインの中でも、災害時における水の確保は、飲料水はもとより、防火用水・生活用水としても不可欠でございます。そのため、東京都においては、水道施設及び設備の耐震化などの災害対策事業を順次実施しておりますが、その取り組みがさらに促進されるよう、区といたしましても要望してまいりたいと考えております。
次に、来街者の対策についてでございます。
本区における来街者を含めた帰宅困難者対策は、平成21年5月に「上野駅周辺滞留者対策推進協議会」を発足させ、自助・共助・公助の連携を図りながら、まちが一体となってこれらの問題に取り組むべく対策を進めてきたところでございます。しかしながら、具体的なマニュアル等の整備がこれからという段階で東日本大震災が発生したため、震災当日、十分な対応をとることができませんでした。
今後は、帰宅困難者への対応につきましては、具体的なマニュアルづくりや体制整備に早急に取り組むとともに、都と連携し、区がより積極的に関与して、実効性ある対策を講じてまいりたいと考えております。また、来街者を含めた滞留者の発生抑制が重要でございますので、その周知徹底や滞留者受け入れ施設及び備蓄品の整備につきましても、民間事業者の協力をいただきながら順次取り組んでまいります。」

