決算総括質疑全文 (令和3年決算特別委員会)

2021/12/07

早川太郎 質問。

「つなぐプロジェクト、早川太郎でございます。今回は4点、区長に質問させていただきます。
まず、初めは、区財政について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた令和2年度決算は、歳入歳出両面においてあまりにも例外的なことが多く、一般会計では歳入で約1,317億円、歳出で約1,238億円、次年度に繰り越す剰余金が約78億円と例年にない規模の決算となってしまい、財政状況を把握するのがとても困難な決算となっていますが、決算に関わる資料や5日間の委員会審議における答弁などから令和2年度の台東区の財政状況を分析してみると、歳入は前年度に比べて約232億円も増額となっていて、課税対象年度がコロナの影響を受けていない令和元年度分であった特別区民税では、納税義務者の増により、ふるさと納税などの影響があったものの約10億8,000万円の増額となり、地方消費税交付金は、消費税10%への引上げなどによる増額がコロナ禍での個人消費の減少による影響をカバーしていて約8億4,000万円のプラスとなっているものの、特別区交付金は、財源である法人住民税の一部国税化やコロナ禍の影響で約35億円もマイナスとなり、たばこ税も法改正やインバウンドの壊滅的な影響を受けて増税分のプラスではカバーし切れず、約6億4,000万円の減額。また、区有施設の使用料などはコロナの影響で予算に対して約9億3,000万円もマイナスとなる影響を受けていて、財源不足への対応として基金の活用は対前年度で30億円の増額で66億円となっています。さらに、1人10万円の支給があった特別定額給付金などのコロナ対策経費には国庫支出金などの特定財源が約235億円も入っていることなどが大幅な増額要因となっています。
歳出は、今述べた給付金のほかにもPCR検査や医療体制の確保、特別融資などのコロナ対策経費で約243億円かかっていて、また、子ども・子育て支援新制度に関わる事業のランニングコストは新制度が開始されて6年間で2倍となり、約126億円となるなど扶助費は増加していて、人件費もこの年度からスタートした会計年度任用職員によって新たに3億4,000万円も影響を受けており、結果、義務的経費は前年と比べて約11億円の増加となっています。感染拡大防止の観点から中止・縮小となった事業などで約19億8,000万円のマイナス影響が出ていたほか、区有施設の改修など先送りした事業があったにもかかわらず、前年度に比べて約193億円の増額となりました。各年度との比較をするためコロナがなかった場合の決算規模を伺ったところ、試算では1,014億円との答弁をいただきましたが、コロナ禍で全体的に執行率が低調だったにもかかわらず、決算規模が1,000億円を超えてしまっている看過できない状況ではないでしょうか。
純剰余金が約78億円と例年と比べて大きくなっていますが、結果としてコロナ禍の影響で不用額が多かったことや国・都支出金の超過受入れが多くなり歳入が過大となったことなどが要因で、前年度からの繰越金、基金の繰入れや積立て、区債の発行や償還、国や都に対する返還金などを加味した収支を伺ったところ、一般会計の実質的な単年度収支は約11億2,000万円マイナスとの答弁でありました。
また、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は前年に比べて4.8ポイントも増加してしまい、89.1%となり、23区で一番高い数字となってしまいました。要因は分母である特別区交付金が大幅な減収となる一方、分子となる人件費や物件費などの経常的経費が増加したことから、経常収支比率が悪化しているとの答弁でありました。
区の財政収支推計を伺ったところ、特別区民税は、国の統計を見ると令和2年の現金給与総額が減となっており、右肩上がりだった傾向が変化していく。特別区交付金は、景気回復により企業収益が改善したとしてもコロナ禍前の規模に回復するには数年を要するなどの答弁でありました。歳入面においては懸念材料が目白押しであり、歳出面では扶助費や公債費は増加傾向にあり、大規模改修など先送りしているが、変わらず多額の経費が必要とのことで、5年間で約460億円の基金活用を見込んでいるとの答弁もありました。
中・長期の懸念材料で言えば、今回の新型コロナ感染は社会に対して大きな変革をもたらしつつあり、ICTやベンチャー系などの企業や個人などが都心から分散していく傾向も現れ出しています。特別区交付金は財源である法人住民税が対象企業の減少で、固定資産税は需要減少による評価の低下などによってさらに減額となる可能性も高く、区民税も将来推計どおりに人口が伸びないばかりか、区を離れていく人も増えてしまえば税収は厳しくなってしまいます。さらに、今回のコロナ対策で国も都も多大な財政出動を行っており、今後、国や都の支出金がドラスチックに削られていくことも、バブル崩壊後の経験を見てみれば、十分考えられる事態であります。区財政は経常的経費の増加により財政の硬直化が進む中、歳入の回復は不透明であり、また、中・長期的には減額が懸念される要素も多々あるなど、引き続き厳しい状況にあると考えますが、令和2年度の決算を踏まえ、区の財政状況をどのように認識しているか。また、それを踏まえ今後どのような財政運営を行っていくのか、区長の所見を伺います。」

区長 答弁。

「早川委員のご質問にお答えいたします。
本区の財政構造は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、早川委員ご指摘のとおり、財政の硬直化が進んでおります。今後、一般財源については、特別区交付金などの減収の長期化が想定される一方で、扶助費や公債費などの義務的経費は増加していくと見込んでおり、経常収支比率のさらなる悪化が懸念されます。そのため、社会経済状況の変化などに柔軟に対応することが困難となるおそれがあるなど、区財政は厳しい状況にあると認識しています。
しかしながら、こうした状況下にあっても区民生活を守るため、子育て支援や災害対策の強化など、必要な施策を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症により顕在化した新たな行政課題にも、引き続き迅速かつ適切に対応していかなければなりません。そのため、中長期的な視点に立ち、より一層の財源確保や施設保全に関わる経費の平準化、管理的経費、義務的経費の見直しなどにより、財政の柔軟性を確保してまいります。あわせて、基金や起債を慎重かつ有効に活用することで、財政の対応力を堅持し、安定的で持続可能な財政運営を推進してまいります。」

早川太郎 質問。

「区長も財政状況について、同じ認識を持っていただいていることが確認できましたし、コロナによる新たな行政課題に迅速に対応していくため、管理的経費、義務的経費の見直しなどにより財政の柔軟性を確保していくとの答弁もありました。
では、経費の見直しをどう行っていくのかという点で提案もありますので、次の質問に移らせていただきます。
2点目は、行政運営について伺います。中・長期的にも厳しい財政運営を強いられていく中にあっても、コロナ禍で生じている課題やポストコロナに向けての産業施策などは、しっかりと対応していく必要があると思っていて、そのためには既存事業の見直し、再構築が不可欠であり、業務の効率化、社会状況の変化に対応したさらなるICTの活用、所管を超えての施策展開、これらは早急に実施に向けて検討していただけるよう、予算特別委員会の総括質問でも要望しておりましたが、先日の企画総務委員会で報告された今年度の事業見直しは、現時点で把握しているコロナ禍の影響への対応やICT利活用の推進などが大半でありました。さらなる事業見直しが必要と考えます。
経常収支比率が5ポイント近くも上がってしまい、90%に近づいていることは、今後の区政運営において大変な課題であると思っていて、歳入は先行き不透明であることに加え、減額懸念を強く持たざるを得ない事項も多く、歳出では社会が多様化し、行政に求められる事業もさらに増加していくことでしょう。また、コロナで影響を受けた課題にしっかりと対応していかなくてはなりません。そうなれば、業務も経費も増加します。しかし、行政の最も重要な責務には行政サービスを継続的、安定的に提供していくことがあり、中・長期的な視野で財政運営を実施していくことが必須であります。
残念ながら、今の財政状況を考えれば、多額な財政出動は困難であります。解決策としてのスクラップ・アンド・ビルドの徹底との手法論も出てくるかもしれませんが、そもそも区が実施している事業では費用対効果の高低はあっても、区民サービスに全く無駄なものはないはずであり、事業を中止するなら、少なくともその分だけ区民サービスは低下します。必要なことではあると思っていますが、それよりも先にやらなければならないことがあるのではないでしょうか。
審議の中で、RPAを導入するときの前段階で実施しているBPRの効果について伺ったところ、RPA作成以外にも作業効率化につなぐことなど、BPRの実施だけでも効果が上がる事例もあるとの答弁もありました。BPRは業務の手順を一つ一つ可視化し、現状を分析した上で手順を入れ替える、あるいは電子化するなどの作業を行うので、業務の無駄が浮かび上がるだけでなく、誰が行っても業務の一定のクオリティーが担保されるなど、効率性が向上します。また、課題が分かりやすくなり、事業の改善にも役立つ優れものであります。現在、情報政策課によって、RPA導入前に実施しているほか、今年度は人事課にテレワークの効率化に向けた取組として、業務分析に向けた調査を幾つかの事業で実施しているようですが、それらの事業を進めていくことは本当に重要で、どちらの事業もBPRの実施が前提になっています。今の状況を考えれば、それぞれ別の事業として行うべきではなく、それらを進めていくためにも、全事業を対象にBPRを実施し、RPAやテレワークの効率化に向かうべきではないでしょうか。
区の事業見直しについては、今後さらなる変化を遂げていくかもしれない社会状況への対応や、さらなるICT化への対応、コロナで中止や規模の縮小を行った事業の在り方や、事業を見直したことによる区民サービスの低下をどう補っていくかなどの課題へ対応していくことは必要だと思っておりますが、まずは庁内各課の事務事業について、BPRを実施し、業務の効率化を強力に推進していくべきと考えますが、区長の所見を伺います。」

区長 答弁。

「ご質問にお答えいたします。
BPRについては、業務手順を見直すきっかけとなるなど、業務の効率化に有効であり、RPAの導入やテレワークの推進につながるものと認識しています。今年度は、業務の効率化や職員の働き方改革を推進するため、一部の事業について、BPRに関する研修やBPRの手法を用いた業務分析調査を関係所管課が連携して実施しました。また、事業の在り方や最適な事業内容を検証するため、事業見直しを実施し、ICTの活用や事業の整理・統合など、手法の改善を図ってまいりました。今後も社会経済状況や行政ニーズの変化を的確に把握し、事業内容や手法について、引き続き適切に検証を進めます。また、BPRの実施に当たっては、推進体制を強化し、業務の効率化をより一層進め、住民サービスの向上につなげてまいります。」

早川太郎 質問。

「今、区長、ご答弁いただきましたが、BPR推進体制を強化するとの答弁をいただきましたので、来年度、全事業で実施するということは現実的にはなかなか難しいのかなとは思っていますが、今の区にとって本当に大事な取組だと思っておりますので、しっかりと実施していただけるよう要望して、次の質問に移ります。
3点目に、子育て支援の拡充について伺います。この決算年度はコロナの影響により、緊急事態宣言で始まり、緊急事態宣言で終わってしまった年度であり、新型コロナウイルス感染拡大への不安に常に包まれながら生活せざるを得なくなってしまいました。年度の初めから、学校などの休校や保育園への自粛要請があったり、テレワークへの推奨があり、今までと違った生活リズムで過ごすこととなりました。外出自粛も続き、人との接触機会が大幅に減少するなど、大人も子供もリフレッシュする機会を大幅に失い、ストレスを抱えたまま自宅で過ごす時間が増えた方が多く、収入面での不安を抱える事態に直面した方も少なくなかったのではないかと思っていて、そういった状況下において、子育て世帯へのさらなる支援が必要となる課題が出てきてしまっているのではないかと思い、審議の中で伺ってみたところ、コロナ禍における子育て世帯の孤立化による不安感や負担感については、今後も懸念されるため、さらなる支援が必要との答弁がありました。
先ほど、午前中、石塚委員からもお話がありましたが、総務費の審議の中では、はばたき21相談でも、DVに関する相談が増えているとの答弁もありましたし、先日の子育て・若者支援特別委員会の中でも、虐待通報の事例において面前DVが増加したとの報告もあり、現象として既に現れ出しているとも感じています。こういったコロナ禍の影響で子育て世帯が抱えてしまった課題の解決をサポートするための事業や、負担感を軽減させるための事業などはしっかりと対応していかなくてはなりません。例えば子育て世帯への負担感を軽減するための事業の拡充でいえば、区は理由を問わず子供を安心して預けられる事業として、いっとき保育を実施していますが、地域偏在やゼロ歳児の対応がないという課題は残っていて、このコロナ禍の状況では複数の子供と一緒では感染リスクが高まるかもという懸念を抱く保護者もいるのではないかとも思っています。
都の補助事業では、一時預かり利用支援のベビーシッター利用支援事業をスタートさせており、予算審議の中で台東区でも活用をと提案していましたが、残念ながら実施に至っておりません。また、子育て世帯が抱えてしまった課題の解決をサポートするための事業でいえば、区は子供を取り巻く諸問題、子供が置かれた環境に着目し、様々な機関などにつなげていくことで、問題解決を図っていくためにスクールソーシャルワーカーを導入していて、学校のほかにも区立の幼稚園・保育園などにも巡回訪問しており、フォローしていただいているようですが、私立園への対応はありません。認可私立保育園などは入園調整をしています。そういう意味では、公立も私立もそういったことには差をつけないといった対応が望ましいはずであります。国も保育園などに、保育ソーシャルワーカーを配置し、要支援児童等への適切な支援を図ることを目的とした補助事業を令和2年度より始めていて、そういった事業も活用をと、昨年の決算のときに提案しましたが、実施に至らず、今年度スクールソーシャルワーカーを2名増員しておりますが、私立園には対応していないとの答弁でありました。私立園への対応には進めていくとの答弁もありましたので、少し安心しましたが、私立園に通っている子育て家庭にも課題の解決をサポートするための支援策を強化すべきと考えます。
今回のデルタ株への変異で、子供たちへの感染リスクが高まっているとも言われていて、保育園の休園も増加しています。3歳児未満ではマスク着用も別のリスクから行われておらず、子供に陽性者が出た場合、同じクラスの子供たちは濃厚接種者認定となる可能性が高く、陰性となっても2週間近くの自宅療養となってしまいます。そのときの保護者や子供をサポートするためICTを積極的に活用し、オンライン保育やメールなどを活用しての連絡、Zoom活用での保護者会などなど、接触機会を減らしても保護者や子供たちへの影響を少しでも減らす努力をして実施している園もありますが、保育園により対応に差が出ているとの答弁もありました。今回のコロナへの対応として、小・中学校では保護者や子供たちへの影響を少しでも減らすため、ICTを積極的に活用しています。就学前の園にもそういった取組を推進すべきです。現在までもコロナの影響による子育て世帯への課題に対して、区は様々な対応を実施していますが、子育て世帯へのさらなる支援が必要となる課題も残っていますし、今後も出てくる可能性は高い、そのような課題に対してはしっかりと、そして、迅速に対応していくべきと考えますが、区長の所見を伺います。」

区長 答弁。

「ご質問にお答えいたします。
昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響による外出の自粛などで、子育て家庭が自宅で過ごす時間が増え、精神的、経済的に不安や負担を抱えていることは、私も認識しています。区では、これまでオンラインや電話での相談をはじめ、保護者同士がオンラインで交流する場を設けるなど、子育て家庭が少しでも安心して生活できるよう対応してまいりました。また、各種給付事業などの取組を行い、経済的負担の軽減を図ってきたところです。
しかしながら、早川委員ご指摘のように、様々な課題があり、子育て家庭へのさらなる支援が必要であると私も考えています。今後も子供の預かり事業など、既存事業の見直しや新たな取組を検討し、ニーズに合わせた子育て支援施策を着実に推進してまいります。」

早川太郎 質問。

「区長、ご答弁ありがとうございました。
コロナ禍での影響は、子育て世帯に限ったことではありませんが、子育て支援施策、着実に推進していただけるとの答弁いただきましたので、来年度の予算ではしっかりと反映していただけると期待し、最後の質問に移らせていただきます。
4点目は、第六波に備えた体制強化について伺います。4回目の緊急事態宣言が解除され、コロナ陽性者数が100名を切る日が続いています。原因ははっきりしていないようですが、ワクチン接種が順調に進んでいることも要因の一つではあるとは思っていて、現在の台東区のワクチン接種率は80%を超えていて、スタート時点では医療従事者への新型コロナワクチンの供給が遅くなったことなどにより、他区に比べて遅れざるを得なかったことを考えれば、9月26日現在で23区1位の接種率になれたことは、区民の方々のご協力によるところも大きいと思っていますが、遅れを取り戻すため強力に接種体制を整備した区の対応も、本当に評価ができるものと思っています。できれば、このまま終息に向かってくれることを心の底から願っていますが、第六波の発生懸念がなくなっているわけではありません。そういう意味では、第五波の経験を基に、第六波に向けての備えを充実しておく必要があると考えます。
決算審議の中で、第五波においては、医療体制・療養体制の逼迫と自宅療養者の支援体制の確保が最大の課題であったとの答弁もありましたが、まさにそのとおりで、台東区においても300名以上の自宅療養者を出してしまいました。理由は様々であったと思いますが、入院は重症患者や重症化リスクの高い人に重点化し、それ以外の人は自宅療養を基本として健康観察を強化するなどとした方針が国より出されたことや、都の宿泊療養施設は65歳以上の方や基礎疾患がある方などが対象者となれないこと、子供と同室を希望する方へ対応している部屋数が少なかったことなどがネックとなり、結果、自宅療養をせざるを得ない方も少なからずいたのではないかと思っています。審議の中で、都は病床や宿泊療養施設の確保などを進め、区も医師会などとの連携体制を活用して、様々な側面から自宅療養者を支援していくとの自宅療養への対応は整備されつつある旨、答弁がありました。
また、コロナとの闘いにおける対応についても、昨年の初頭から起こった新型コロナウイルス感染症との闘いは、現在も重要な対策である感染を拡大させないための三密の防止のほか、PCR検査などの検査体制の確保が求められた時期から、集団免疫を確保するためのワクチン接種を推進していく時期へと変化し、抗体カクテル療法のような初期の段階で重症化を防ぐ薬品の活用で、重症化を未然に防ぐ体制の整備へと変化してきているのではないでしょうか。幾つかの治療薬も認可されてきていて、そういった治療を行う医療体制の整備が進みつつあり、抗体カクテル療法も、都が調整を図る体制を整え保健所で入所調整を行っている。また、専用のコールセンターを設置し、治療希望を受け付けているとの答弁もありました。第五波での課題における対応や初期治療の体制整備が進んでいると思っているのですが、第五波における爆発的な感染拡大に始まり、ここへ来ての急速な感染縮小など、常に私たちの想定を簡単に超えてしまっているのが今回の新型コロナ感染ではないかと思っていて、これで大丈夫なのかとの懸念は拭えません。
第五波の爆発的な感染拡大は、都の想定をはるかに超えていて、対応病床や宿泊療養施設が逼迫、保健所も連日連夜の奮闘にかかわらず、対応が後手にならざるを得ない状況となっていました。ワクチン接種が進んでいるものの、感染症が拡大しやすい冬の時期に向かっていることや、さらなる変異株など、第六波がどのような状況へと向かっていくのか、誰にも予想できません。区民の生命に直結する問題なので、十分な備えを行うべきではないでしょうか。例えば、自宅療養については、台東区はこれまで自宅療養者をなるべく出さないように努めてきたことは大変評価していて、これからも続けてほしいと思っていますが、感染者数が大幅に増加すると自宅療養者が増える、今回の経験からそういった事態が起きてしまうことが分かりました。区内の医師をはじめとした医療関係者の方々も、通常の医療行為の維持だけでなく、コロナへの対応やワクチン接種など、大変ご尽力いただいていますが、自宅療養者の支援、例えば在宅酸素療法や外来での診療、健康観察や連絡方法など、医療関係者の方々との連携を図ることも重要です。また、病院機能の充実、そもそも総合病院が少ない台東区では、抗体カクテル療法のような初期の段階で重症化を防ぐ治療を行う病院がまだありません。都において、調整を図る体制が整備されたとは伺いましたが、第五波のときのように感染者数が急激に増加してしまえば、調整に時間がかかります。
この治療は、感染後速やかに行うことでより効果を発揮するとも言われていて、区立病院である台東病院や、区の中核病院として位置づけられている永寿総合病院、区有地の貸付けを実施している浅草病院など、区との関係が深い病院もあります。ぜひとも治療薬としての飲み薬が普及するまでの間、初期治療に効果があると言われている治療を実施していただけるよう、働きかけていただきたいと思いますし、後遺症についても感染時の症状の有無にかかわらず、感染から回復した後にも後遺症の様々な症状があり、現段階では後遺症の原因は不明であり、治療としては対症療法が中心となっているようですが、相談窓口の設置や医療機関の紹介など、区民の安心につながる区内での体制整備もぜひともお願いしたいと思います。
さらに、保健所の体制整備で言えば、今回の新型コロナウイルスとの闘い、保健所はまさに最前線で対応していただいていて、本当に日々疲弊しながら頑張っていただいている。感謝の念に堪えませんが、こういった状況が1年半以上続いています。速やかに保健所の体制強化が図れるよう計画を策定との答弁もありましたが、現在の保健所には余力がなくなってきているのではないかと危惧しています。医師会や病院との連携を中心に、外部人材の活用や臨機応変な応援体制の整備なども検討すべきではないかと思います。区は、これまでも昨年4月のPCR検査センターの開設、永寿総合病院の支援、発熱外来の設置やワクチン接種会場の設置など、状況の変化に応じて速やかに対策を進めてきたと思っておりますので、今後も状況の変化に速やかにできる限りの対策を進めていただけると信じていますが、コロナとの闘い、区民の生命を守るために体制強化を図るべきと考えますが、区長の所見を伺います」

区長 答弁。

「ご質問にお答えいたします。
区では、これまでも感染状況に応じて、人員の確保や検査体制の整備など、必要な対策をできる限り速やかに進めてまいりました。また、感染拡大時に急増した自宅療養者に対しては、医師会等と連携して訪問診療や健康観察を実施したところです。現在感染者は減少しておりますが、変異株やブレークスルー感染等による再拡大も懸念されることから、保健・医療提供体制確保計画の策定を進めており、さらなる体制整備を図ってまいります。
また、後遺症について、区民が身近に相談できる窓口の設置に向けた準備も行っているところです。私は、想定外の新たな事態が発生した場合にも様々な工夫をしながら、できる限りの対策を講じ、今後とも全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。」

早川太郎

「コロナとの闘い、区でできること、できないことがあるとは思っていますが、想定外の事態が起きた場合でもできる限りの対策を講じ、全力で取り組んでいくとの意思表明は高く評価させていただきますし、後遺症の相談窓口の設置に向けた準備も行っていただいていることも分かりました。こういった不測の事態が起こり得るときには、区長が先頭になって牽引していっていただきたいと思っておりますので、しっかりお願いしたいと思います。
この決算年度においては、コロナの影響を受けて思ったとおり予算を執行できなかった事業も多々ありますが、9回にわたる補正予算を行い、コロナへの対応などを速やかに実施してきたことなど評価いたしておりまして、つなぐプロジェクトといたしましては、令和2年度決算について認定させていただきます。ご清聴ありがとうございました。」

タイトルとURLをコピーしました